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    erikandel_arj34

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    erikandel_arj34

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    ミラージュ概念年賀状 高耶さん編を補間するミニ小説です✨

    ミラージュ年賀状 高耶編仰木家はささやかな年始を迎えていた。
     
    美弥「お兄ちゃん、おもち何個?」
     
    美弥は台所で雑煮の支度をしていた。
    その横で高耶はお節のかまぼこをつまみ食いしていた。
     
    高耶「ンー二個かな。お、このかまぼこうめーじゃん」
     
    美弥「ちょっとお兄ちゃん、つまみ食い禁止ー。」
     
    美弥は腰に手を当ててぷりぷりと怒って、高耶を台所から追い出した。
     
    追い出された高耶は所在がなくなり、仕方なくテレビをつけ正月特番のお笑いを見ていた。
     
    高耶「(なんかこうして普通に正月してんのが不思議だな)」
     
    高耶は去年の怒涛のような出来事を振り返り、ふう・・とため息をついた。
     
    美弥「お兄ちゃんお正月早々ため息なんて、福が逃げちゃうよ。ほらお雑煮食べよー。お節も解禁」
     美弥はテーブルにお雑煮とお節をテキパキと運び、可愛らしいフリルのついたエプロンを脱いだ。
     
    二人は揃っていただきまーすと正月のご馳走に舌鼓を打ち始めた。
     
    高耶「今年の雑煮、いい出汁出てんじゃん。上達したな美弥」
     
    高耶が関心したようにいうと、美弥も得意げになる。
     
    美弥「でしょ?学校で出汁の取り方ちゃんとならったからね。」
     
    高耶は妹の成長を感じ、内心嬉しくも寂しいような心持ちになる。
     
    高耶「(こうやってでかくなってくんだな・・あんなちびでビービー泣いてたのに)」

    美弥「そうだお兄ちゃん、年賀状届いてたよ」
     高耶「オレに?森野か譲だろどうせ?」
                        
    年賀状を出すような知り合いはあまりいない高耶。毎年送られてくるのは変わり映えのない面子である。

    美弥「橘さんって人」
    高耶「ぶっ・・!」

    思いがけない名前に、思わず雑煮の汁をふいてしまった。

    美弥「誰?随分大人っぽい年賀状だね。お兄ちゃんの友達?」
    高耶「と、友達な訳あるか!・・た、ただの知り合いだよ」
    美弥「お兄ちゃんの好きそうな海鮮屋、また行こう書いてあるよ。仲いいんだ」

    な、なんて事書きやがるんだ・・あいつ・・!。
                         
    高耶「も、もういいから貸せ」
                         
    慌てて美弥から直江からの年賀状を取り上げる高耶。
                         
    美弥「ちゃんと返事出さないとダメだよ」
    高耶「いいよ、こいつに返事なんて」
    美弥「だーめ!新年のご挨拶はちゃんとしないと。お世話になってるんでしょ」
                        
    美弥は高耶が返事の年賀状を書かないと許してくれそうになかった。
                        
    高耶「わかったよ・・年賀状余ってんのあるか」
    美弥「はい、これ。多めに印刷しといたから。」
                        
    そう言って美弥が出してきたのは、美弥と高耶の写真がプリントされたピンクの可愛らしいデザインの年賀はがきだった。
                        
    高耶「こ、こんなん出せっかよ・・!白紙でいいよ!」
    美弥「もったいないでしょ。いいから、ほらこの空いたスペースにお兄ちゃんからのメッセージ書いて」
    高耶「マジかよ・・」
     
    美弥に無理やりペンを持たされ、もう逃げ場なしと仕方なく書き始めた。

    高耶「はあ・・何書けばいいんだよ・・これでいいか」
     
    高耶は美弥が無理に書かせた旨と直江のメッセージへの返事を書いた。
     
    美弥「じゃあ、私からも橘さんに書くね!」
     
    高耶「はあ!?あ!お、お前・・」
     
    高耶が止める間もなく美弥は可愛らしい文字でお兄ちゃんをよろしく、と書いてしまった。
     
    美弥「じゃ、これ出しとくねー」
     
    ヒョイっと書き終わった年賀状を取り上げられてしまった。
     
    高耶「・・怨霊より美弥の方が手強いじゃねーか・・」
     
    ぼやきつつ、年賀状の宛先の男の事を思い浮かべた。
     
    あの不思議な包容力のある男。
     
    高耶「あいつ・・あの年賀状届いたらどんな顔すんだろ」
     
    直接会った時にその話が出るだろうか・・
    気恥ずかしい気持ちになりつつも、年賀状を送るような相手が新しくできたのが、心の奥底で嬉しさを感じていた。
     
                     完
                       
                        
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