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    masasi9991

    @masasi9991

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    道流さんが帰って来るのを待ってる道タケ漣

    ##道タケ漣

    油断して待機中 船を漕ぐって、こういうのか。コイツのやることはわかりやすい。
    「おいオマエ、起きろ」
     ……コイツが起きてても寝てても、別に俺には関係ねーんだけど……。でもコイツがさっきから寝ねーように必死なの見てたから、起こしたほうがいいかって思っただけだ。単純に。
     でもコイツ、俺がちょっと声かけたくらいじゃ起きねえ。布団の上で腕くんであぐらをかき、頭をゆっくり揺らして眠っている。寝てるだけなのにどういうわけだか偉そうだし、ちょっと面白いのは反則だろ。
     ここで俺が起こさなくても、コイツは「なんで起こさなかったんだ」とは言わねぇだろう。円城寺さんには、キレるかもな。だから結局、俺には起こしてやる義理はねぇ……だけど、やっぱり放っておけなくて、俺は布団から出た。
     円城寺さんは「先に寝といていいぞ」と言ったから、俺は布団に入ってた。今日はもう寝るだけだ。それでも横になってても円城寺さんが帰って来るまでは起きてる自信があった。でもコイツはそれにふざけんなって謎のキレ方をして、こうして準備された布団の上に座り込んで待ってる。横になったら寝るだろうって自分のことよくわかってるらしい。
     要するにコイツはよっぽど円城寺さんのことを待ちたいらしい。それがわかるから、放っておけない。……まだいつものあれ、されてないしな。寝る前に円城寺さんがいつも、キスするやつ。
    「おい」
     前から顔覗き込んで、もう一回声をかけてやる。起きねえ。知ってる。
     どうしてやろうか?
     肩を掴んで揺らしたら流石に起きるか。あんまり気は進まねえが……。コイツ、力尽くで起こそうとすると暴れるから。力尽くじゃないとしたら、円城寺さんみたいに歌、歌ってやるとか……それはねぇな。それか円城寺さんの家でなら、朝は、キスして……。
     気付いたら、肩掴んでその顔をまじまじと見ていた。キスしたら起きるだろうか? わかんねえ。そういうのは、したことがない。
     キスしたことがないわけじゃなくて……寝てるコイツに、そういうのをしたことがない。
     起きてるときはする。起きてるときっつーか、ヤるとき……。でも、そういう雰囲気のときにするのと、今やるのは、別……だ。
     コイツ、口半開きにして寝てる。下向いてゆっくりゆらゆら揺れて、いかにも気持ちよさそうだ。静かな寝息。口の端からよだれが微妙に出てる。やべえ、やっぱ早く起こさねーと。
     円城寺さんが、俺やコイツにするときは、こんな感じで……。朝に起こされるときのことを思い出す。
     思い出しながら、コイツの半開きの口に唇を押し当てた。
     ふに、と柔らかい感触だった。……それがどんだけ柔らかいのかなんて知ってる。その触り心地がすべすべしてるのも、唇が触れただけでそれがわかるってことも、知ってる。だけど寝てるからか、いつもより体温が高い。唇の端を濡らしてるよだれを、舌を押し当ててそっと拭った。コイツの味と、匂い……。
     悪くは、ない。でも円城寺さんが起こすときにやるのと、これじゃ少し違う、か……。
     朝、円城寺さんが俺を起こしてくれるときはもっと、額や頬に優しくそっと触れるだけのキスをしてくる。それがくすぐったくてすぐに目を開けてしまう。もうちょっと、と思うんだけど、円城寺さんにはそういうのすぐにバレて「よーし、しっかり起きたな。おはよう」って笑って言われて……。だから口にするキスは、起こすときのキスじゃない。
     でも普段のコイツはそういうのをされた後でもまだ布団にしがみついてて、円城寺さんのあのデカい声で耳元でおはようの歌を歌われたり、力付くで布団から引っ張り出されたりしてやっと起きる。ってことを考えればコイツを起こすためならちょっとぐらいは、激しいことした方が正解なんじゃねーか。こんなうたた寝だとしてもだ。
     そういうことを考えながら何度か繰り返し、唇を重ねた。つっても結局はほとんどその言葉の通り、触れるだけだ。唇の上、少しだけ舌出して舐めたけど。でもそれはコイツがよだれ出してたからしょうがねえし。
     だけど唇を離して一息ついたときに、コイツの薄く開いた唇を見て魔が差した。濡れて少し赤くなっている。濡れてんのは、今は、俺のせいだ……。赤くなってんのも。でも口半開きで寝てんのは元からだ。で、俺の頭ん中に浮かんだのは、その薄く開いた唇の隙間に自分の舌をねじ込んで開く、その感触。
     初めてやるわけじゃない。……そういう関係、だ。だからしたっていいはず、だ。コイツは何も、言ってねえにしても。……いや、どうだろう。こういう完全に不意打ちってのは、円城寺さんだったらするだろうか? 額や頬にするのとは違うから。
     ぐるぐる考える。コイツは呑気に船を漕いでて、起きない。起きて円城寺さんを待ってるつもりだったようには見えねえ。熟睡にも程があるし、何より油断し過ぎだろう。俺相手に……。
     やっぱりもう少し、と思って頭を掴む。それでも起きない。それに逃げない。そういえば起こそうとするときは寝てても逃げるよな……ほんとに変なヤツだ。
     と、思ってたら急に目を開けた。パッと効果音が聞こえたくらいの勢いでその猫のような目を珍しく丸く見開いて、そのまま瞬きを繰り返す。驚いたこっちは思わずコイツの顔を掴んでいた手を離したが、ソイツはどっちにしろ気にしていなかった。
     それどころかとんでもなく機嫌が良さそうな顔になる。その頃にはアパートの階段を急いで登ってくる足音が聞こえ始めてた。
    「らーめん屋」
     そう呟いて、玄関の方へ振り向いた。円城寺さんが玄関の鍵を回すよりも前だ。
     俺が思わず吹き出したら、ソイツはハッとして寝る前までは待ちぼうけで不機嫌だったのを思い出したのか慌てて口を尖らせ直した。どうにか、円城寺さんが入ってくる前に。
    「円城寺さん、お帰り。店の方、大丈夫だったか?」
    「あれ、二人とも起きてたのか。ただいま。いや、大したトラブルにはならなかったよ。お騒がせしました」
    「おせーんだよらーめん屋! トロトロしやがって!」
    「寝てたってよかったんだぞ?」
    「るせェ、さっさと寝ろ」
    「ちょっと待っててくれ、もう一回シャワー浴びてくる。外、暑くてな……」
    「オレ様をこれ以上待たせんな!」
     オマエが勝手に待ってるだけだろ、とは言わないでやった。俺もそうだしな。それに俺の前で油断して熟睡してたのも、黙っとくか。
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