レプリの寝言「だぁめだって……レッド、もうちょっと……うう、せまいよぉ……」
背を丸めて、膝の上に置いたどデカいパーツをいじくり回す。旧型の磁力発生装置だかなんだかという話だが、完全に沈黙している。ただの鉄の塊だ。この中のレアメタルを取り出したいんだが。
もう片方のの膝の上でゴニョゴニョと文句を言っている奴がいる。こいつのせいで、作業が一向にはかどらない。
「狭い」
「それはボクのセリフだってば」
ヒトの膝を枕にして占領しておきながら、随分なことだ。
「寝言を言うレプリロイドってのも珍しいな」
「寝言じゃないよ、起きてるよぉ」
「何を言ってるのかよく聞こえねえな。それとも起きてるなら手伝うか?」
「ヤーダーめんどくさい! そんな雑用レッドひとりでできるじゃん。ボクはここで寝るの」
「そうか、やっぱり起きているのか」
「起きてない! これは寝言。ぐぅ」
「ならこんなところで寝るな」
「寝てるからボクは動かないよ」
目も開けずにオレの膝にかじりついたまま、延々と駄々をこねる。さっきからこの調子で邪魔しかしねえ。