masasi9991 @masasi9991 妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど平和なのと燃えとエロと♡喘ぎとたまにグロとなんかよくわからないもの ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 413
ALL 道タケ漣 妖怪ウォッチ 久々綾 デググラ かぶもも レクセル RMX クラテパ ヴァルフェン レオクリ ゼロクス ZXA 創作 ジクイア masasi9991DONE事後のレクセルki/o/ku「ねーレッド、起きてる?」 「あ?」 騒がしい声に振り向いた瞬間、白いフラッシュが視界を奪った。カメラアイが絞られる。そのアナログで軽微な作動音が片目の中で短く鳴った。 フラッシュで一瞬ぼやけた映像の中で、小柄な身体が手を振っている。 「なんだ、そんなものわざわざ持ち出して」 「オモチャみたいで楽しいじゃん」 そいつは素体むき出しの軽装で部屋の中をちょこまかとうろつき周り、その手にした古式ゆかしいカメラをあちこちに向けた。 手のひらの中の直方体の上部にシャッターボタンが付いている。そいつがシャッターを切るたびに、室内が白く眩しく点滅する。まあ、直接オレに向けたとき程には眩しくはない。その直方体の前面に取り付けられた扁平なカメラアイの絞りの作動音は、オレの身体で鳴った音よりも随分喧しい。 1065 masasi9991DONEいつものかんじのレクセルやいてる「あのさー、別に深い意味とかないし別になんとなく聞いてるだけだから答えたくないなら答えなくてもいいんだけどさー。レッドってああいう知り合い多いの?」 「ああいう?」 この返事は絶対わかっててわざととぼけてる。怪しすぎる。白々しく首をかしげたりとか……。そういうごまかし方って子供っぽすぎるよ。確かにいつも、わざとやってるわけじゃなさそうなときでも、意外と子供っぽいところあったりするけどさ。 「ボクがなんにも知らないと思ったら大間違いだよ」 「何の話だかわからねえな。ああとかこうとか、遠回しなやり取りは好きじゃない」 「だからさ」 更に問い詰めようとして、ボクはベッドから立ち上がった。そしたら向こうにいたレッドがすぐこっちに来て、屈んでボクをじっと見た。ボクももちろん睨み返す。 686 masasi9991DONEイレハン3人のお昼ごはん ゼロクスお昼どき こうして見ると、ヒト目を引くデザインだ。だけど同時に、すごく自然で、ごくありふれた姿だとも思える。こんなふうに街中にいても、ハンターベースでの打ち合わせ中でも、荒れ果てた戦場に立っていても。 「あれ?」 すぐにこっちに気付いて小さく手を振った。飾り気のない笑顔を浮かべた。手にしたトレーを慎重に水平に保ちながら、店の中のヒトビトに気を遣って避けてかわしながら、少し急足でこっちに来た。 「珍しいね」 なんて言いながらボクたちのテーブルにトレーを置く。それからハッとして、 「ここ、空いてるかな」 と尋ねた。 「大丈夫だよ、エックス」 「よかった。ありがとう」 そのやり取りを、ぼくの前に座っているゼロが視線だけ動かしてチラリと見る。 1497 masasi9991DONE修理についてのレクセル修理の話 ガタンガタンと容赦なく車両が揺れる。昔の物資輸送用の鉄道を再利用しているらしいから、文字通り線路も車両もガタガタだ。そのうちひっくり返るんじゃないかってぐらい。大きく開いた傷口を覗き込むと、中の部品も揺れている。 揺れと一緒にネジの一つや二つ、吹っ飛んでいきそう。 「そんなに心配するな」 「してないよ」 「そうかよ」 なんて相槌を打ちながら、レッドは苦々しく顔を歪めた。 車両の壁に寄っかかって横たわったレッドは、さっきから短い会話と苦い顔しかしていない。傷が痛いってわけじゃないだろう。多分。いつも、このくらいで痛いとかなんとか言うことはないし。この傷はいつもと同じくらいの、大したことのない破損のはず。多分そう。 1303 masasi9991DONEお留守番のレクセル留守番 つまんないな。ほんとにつまんない。もう一万回ぐらい文句言ったけど、つまんないのはつまんないんだから何回「うるさい」って叱られたって黙ってられない。ま、その文句を言う相手も、とっくにどっか行っちゃったから、流石に今はもう黙ってるけど。一人で騒いだってつまんないし。つまり、やっぱつまんない。 今日はお留守番だってさ。お留守番ってさぁ……。怪我したのはボクの責任だし、置いてかれたのはしょうがないけどさ。ついて行って足手まといだろうし。それよりは残ったほうがいいってわかってるよ。ボクはそういうとこ物分りがいいんだよね。そう何度も言ったのに、ちっとも分かろうとしない! だいたい、そろそろ長い付き合いなんだから言わなくったって分かるべきだよね。 926 masasi9991DONEゼロクスまどろみ 必要ないと君は言う。あるいはそれは君なりの気遣いのつもりなのかもしれない。そうなのだとしたら、君が目を閉じる瞬間がオレは少し怖い。 スリープモードから目覚めるとき、オレの脳髄は周囲の状況を素早く把握するために一瞬ビジー状態になる。通常なら光を絞る役目のアイカメラの瞳孔部分が開ききって、そこにある風景だけが詳細に目に映る。眩しい。目が覚める瞬間は、いつも眩しい。 スリープモードに入る以前に見た風景とは違う映像が目覚めた瞬間にだけ見える。身体は動かない。これはヒトの言う「まどろみ」に近いものだろうか、と解答を得ようもないことを時々考える。 そして、それからいつも……眠るとき、いつも、ではない。特定の状況下ではいつも、同じことをする。身体も動かせないまま、脳髄に流れ込むひどく鮮明で眩しい風景の中に、君の目を探す。静止した一瞬の風景のどこかで、その両眼が開いているのを。 622 masasi9991DONEレッドがアクセルくんを拾った直後の話殻のベッド メンテナンスルームに散らばったガラス片が、気流に煽られた機体の振動に合わせて床の上を跳ね回った。開きっぱなしのドアから差し込む廊下の照明を受けた破片だけが白く照り返す。室内の電気系統は切れているらしい。 「怪我はないか?」 「そこのベッドから逃げ出したヤツ以外には」 物陰から顔を出したメンテナンス担当の技術士が肩を竦めた。なんでも、メンテナンスポッドで目覚めたヤツは突然暴れ出すと、技術士の静止も聞かずにどこかへ逃げていったそうだ。 ビーカー型のポッドはレプリロイドの拘束具としてもそれなりに機能する――と、常識的に認識していたが、あいつに対してはそうでもなかったらしい。そこら中に散らばっているのは、内側から破壊されたポッドのガラス片だ。 1056 masasi9991DONE探索中のレクセル崩れる! 静寂だった。無闇に辛気臭く、屋根すら吹き飛んだ埃っぽい瓦礫の中に風が吹き込み、砂埃が舞う音まで聞こえる程度には。 さっきまでは。 雪崩を起こした瓦礫の最後の一片がオレの頭の横をガコンガコンとけたたましく音を立てながら落っこちてった。耳に反響するほどにやかましい。 「……てめえ、オレが避けなかったらどうなったか、わかってんのか?」 「うん。レッドなら避けないって信じてたよ!」 オレを下敷きに瓦礫の上に着地しておきながら、悪びれもせずにそいつは言う。まだ、オレの膝の上にいる。こいつが現れただけでとんでもねえ騒がしさだ。一体どこから飛んできたんだ? 呼びかけられて振り返った時には、既に避けるか避けないかの二択を迫られる瞬間だった。それも真っ昼間の逆光の中だ。余地はない。どんな思考回路と身体能力してんだか、常に見当が付かない。 712 masasi9991DONEなんかゲームをしているレクセルゲーム「ずるい」 「こんなんで本気になるなよ」 「だってさ、レッドの方が手、大きいし。操作しやすいから有利なはずじゃん」 「だがこの手の空間認識能力はお前の方が優れてる、だろ?」 「そうだよ。だからボクがこんなに負け続けるの、おかしいよ。ちょっと手が大きいからってずるくない?」 「手の大きさだけで勝ってるってワケじゃない。こういうのは勘と経験がものを言うんだよ、特にこの手のゲームはな」 「経験とか言ったらボクはいつまでもレッドに勝てないじゃん!」 「そうかもな」 「んんんん。もう一回! もう一回だけ勝負して!」 「そりゃいいけどよ、お前ここまで四回……五回か? 負けた分の賭けはどうするつもりだ」 「う。それは後で払うよ。ていうか何させるつもりなのか聞いてないし」 618 masasi9991DONEセックス同意書の話( https://poipiku.com/955041/4131800.html )の続きのレクセル最中描写はなしまだ続く 1041 masasi9991DONEレッドの昔話とアクセルくんこわいはなし そこは廃墟というか、これから廃墟になるんだろうと予測されている場所だった。まだヒトがいなくなって数日しか経っていない。ほとんどの場所についさっきまで誰かがいた、みたいな形跡が残っている。 機能が生きている設備も珍しくないし、ボクが前を通りがかったら「調理が完了して十三時間が経過しました。中身を取り出すか温め直すか選んでください」なんて喋りだした自動調理器もあって、正直そのときはかなりびっくりしてちょっとジャンプしてた。単独行動してるときでよかった――けど待ち合わせの場所に戻るまでかなり緊張した。 あれはそこに住んでたヒトが機械の中の燃料も食材も置きっぱなしで避難したってことみたい。調理器はいつもの通りタイマーに合わせて動いただけ。そんなことはわかってる。 1006 masasi9991DONE経験値が足りないアクセルくんのレクセル経験値の不足「変な格好だな」 「……は? 他に言うことあるんじゃないの」 さすがに呆れた。この反応は、予想できなかったわけでもないけど……どうせそんなところだろうと冷静に考えてみればわかってたけど、だからってムカツクことはムカツク。 だってもうちょっと他に言い方っていうか、あるじゃん。イメージに合わないとかさ。ボクってどっちかっていうと清純派なわけじゃない。だからこういうのはイメージと違うとかって言うのならさ、わかるよ。でもそれもギャップがあっていいと思うんだよね。 って思うんだけどさ、それ以前の問題。 「正気か? お前がその貧相な身体でそれを着ようって? 愉快なこと考えるモンだな」 「愉快じゃなーいー! ちゃんと想像してみてよ、絶対似合うから」 876 masasi9991DONEやましくないレクセル手遅れ? この状況に慣れちまってるのは、少々まずい。何がまずいって、まずドアを開く前からわかっちまってるってことが、だ。 「おかえり! 遅かったね?」 ……ほらな。こいつは予測できていたことだ。だが予測できてたってのが、問題だ。 自室の外からは特に侵入の形跡なんてなかった。侵入? こいつも鍵持ってんだからその言い方はおかしい。でもここはおれの部屋であってこいつの部屋じゃない。部屋の主に断りなく入ってるんだから侵入と言えなくもない。いや問題はそんなことじゃなくて――。 気配だとかなんだとか、そんなものを分厚い金属の扉越しに感じたわけでもない。仮にそうだとしたらそれはそれで気味が悪いだろう。こいつは一人室内で騒いでいたわけでもなさそうだ。ベッドの上でだらけている。そこは誰のベッドだ。アーマーを脱いでいるからまだ良いが、違う良くはない、むしろ悪い。 911 masasi9991DONE暗めのゼロクスマクベス 土のような沈んだ顔色をしている。人に例えて言うならば、死人のような顔と言うんだろう。レプリロイドにその例えは相応しくない。それに縁起でもない。 「エックス」 残骸を踏んでふらついて歩いているそいつに声をかけた。顔を上げる。自然光が頬を照らす。だが、やはり土気色だった。 顔色が変わる機能ってのは、一体何のためにあるんだろうか。わからないままエックスに駆け寄り、その倒れそうな身体に肩を貸すような形で抱きかかえた。 しかし、その傷ついた腕が拒否するようにおれを押し返そうとする。 「どうした。平気じゃないんだろう」 「ゼロ。……汚れているような、気がする」 「どこが」 聞き返しながら、エックスの身体を見下ろす。傷だらけだ。その上オイルや汚水であちこち汚れている。だが、だから何だと言うんだ。その傷が物語っているのは、エックスがイレギュラーとの激しい戦闘を生き延びたという事実だけだ。 813 masasi9991DONEハロウィン失敗のレクセル待てない「レッド、今日が何の日か覚えてた?」 なんだって? いや、何を言っているのかは聞き取れたが、その質問の意味がわからねえ。今日が何の日だったかって? そもそも今は、何月何日なんだ。日付、時間は。 しばらく眠っていたせいか、データの同期が切れている。今すぐ復旧しなけりゃ不便で仕方がない。が、生憎自分自身の身体は指一本たりとも動かなかった。 当然声も出ねえ。オレが入れられてる治療用カプセルの外で駄々をこねている奴に、返事をすることもできないってわけだ。 そこから見てりゃ、オレが返事をできる状態じゃないってことぐらいわかりそうなもんじゃねえか。 そのしょげてる顔は似合わねえな。もっといつものようにふてぶてしくしてくれねぇと。 672 masasi9991DONE星を見ているレクセル星を見る話 前を歩いていたレッドが急に立ち止まったから、そのまま背中にぶつかりそうになった。 急にどうしたの? って抗議しようと思ったけど、思いとどまって飲み込んだ。あんまり喋れる状況じゃない。多分、ここまで来たら大丈夫だろうけど。 メカニカルな木々の合間から空を見上げている。何か異変でもあったのかな。ボクの位置からはただ暗いだけの夜空しか見えない。レッドの目線からなら? 立ち止まったレッドの背中にもっと近付いて、同ように夜空を見上げる。 「アクセル」 「ん」 押し殺した声でレッドがボクを呼んだ。だから小さな声で返事をした。やっぱり大きな声で喋れる状況じゃない。ちゃんとレッドに聞こえたかな? とボクが疑う前に、レッドは振り向いてボクの前でちょっとしゃがんだ。 1090 masasi9991DONE会話してるレクセル聞きたいだけ『わっ! ……っはははは! ねえレッド、びっくりした? 声も出ないぐらい?』 「……驚いたんじゃない。呆れてるんだ」 『そうなの? つまんないなあ』 「ヒトの耳元で大声出しておきながらどういうつもりだ?」 『ただの遊び心だよ。だって別行動って久しぶりじゃん。こういうときでもないとこの回線使うことないからさ』 「そりゃオレとお前の専用回線だからな」 『へへ。だからたまにはいいじゃん。ちゃんと繋がってるかどうかのテストだよ』 「心配しなくてもそうそうエラーが出るような作りでもねえさ」 『そうかもしんないけど、ちょっと試してみたくなったの! ねっ、レッドもでっかい声出してみてよ』 「はぁ? どうして好き好んで煩い思いをしようとしてるんだ」 375 masasi9991DONE寝起きのレクセルいいわけ ふっと目が覚めた視界に目覚まし時計が映り込む。乾いたアイカメラにその文字盤がわずかに曇って見えた。アラームまであと十分ぐらい。アラームなんて誰が付けたんだろ? ボクじゃないから、レッドしかいない。 なんでこんなに早い時間に……。もう起きちゃったし、あと十分後にうるさい音を聞かされるのヤだ。十分経ったらボクが起こせばいいし、止めちゃおう。 となりで寝てるレッドの上を腕でまたいで、ベッドサイドに置いてある目覚まし時計のスイッチを押してアラームのカウントダウンを止めた。これであと十分、気兼ねなくのんびりできる。 ふーっと安心して気が抜ける。元々眠いし抜けっぱなしみたいなもんだけど。ベッドの元の位置に戻るのも面倒くさくて、アラームを止めてそのままレッドの上にうつ伏せにぶっ倒れた。十分後って何時だっけ。 403 masasi9991DONE先輩が助けに来たゼロクス安堵 身体はピクリとも動かない。救難信号を送るための通信機能はもとより、オレのボディの中では原始的で丈夫な作りのはずの発声装置も働かない。瞼すら持ち上げられない。そんな機能が、あったのかどうかすらわからない。雲を掴むような感覚を覚える。まるで最初からオレというCPUにはボディなんてものは与えられていなかったかのような。 だけど思考だけはこうして働いている。ボディの方は、自動修復装置が生きていれば、そのうち動き出すだろう。今、今は死のような静寂だ。 オレたちレプリロイドに死なんてあるのかな。人は死の間際には聴覚だけが残るという話を聞いたことがある。ここは静かだ。死ですらないのかもしれない。それじゃあ、生きていたかどうかもわからない。 859 masasi9991DONE初夜のあとのレクセル最中描写なし 2114 masasi9991DONEタバコとレクセルタバコのニオイ 近頃のタバコは高性能で、匂い・煙はもちろん依存性や副作用もなく安心安全にトリップできるらしい。しかしそんなものは高級品で、オレらのような地を這う貧乏人には縁がない。それに大方そんなもの、元のタバコの味もなにも削り取られたまがい物で、ドラッグプログラムと何も代わり映えのない代物だろう。それに人類もレプリロイドも同種の植物でトリップするという馬鹿げた不具合が愉快なんだ。最適化するようなモンじゃねえ。 「レッドさー、そんなにタバコ好きなの? ボクに隠れて吸うくらいに?」 「隠れてんじゃねぇ、気を使ってやってるんだよ」 ヒトがわざわざ外に出て吸ってるってのに、こいつがノコノコとついてきやがった。しばらくは黙ってオレが吸うのを眺めていたが、こいつがそう長く黙っていられるわけがない。すぐにおしゃべりが始まった。 1039 masasi9991DONEお休みの日のゼロクス気怠い休日「今日の予定は、何も聞いてないぜ」 モゴモゴと、布の奥からくぐもった声。こっちまで眠くなりそうな気怠い響きだ。 「わかってるよ。君は昨晩まで任務で忙しかったし、無理にどこかへ連れ出そうとは思っていない」 「そいつは良かった」 「この間君が言っていた水上チェイサーの試乗、今日までだったのは心残りだけど」 あっ、という声がベッドの中から聞こえた。 さっき訪ねてきたオレを玄関まで迎えに来たゼロは、なんとそれからまた二度寝とばかりにベッドの中に戻っている。こんなゼロの姿はとてもじゃないがイレギュラーハンターとしての彼のファンには見せられない。イレギュラーを前にしては冷静沈着苛烈なあのゼロが、休日はこんな自堕落だなんて。そもそもオレ以外は知りようもないが。 1270 masasi9991DONEいちゃいちゃしてるだけのレクセルみたい「猫みてえだな」 「レッド、猫好きなの?」 「ああん?」 何言ってんだかわかんないって感じだ。鈍いなぁ。説明してあげなきゃいけないみたいだけど、今はちょっとめんどくさい。 「やっぱいいや。なんでもない」 「そう言われると気になるだろうが」 「だってもう眠いし。明日覚えてたら教えてあげる」 「ここで寝るのか?」 「そだよ」 「それならオレはどうやって寝ろっていうんだ」 「んー……そのまま。戦闘用なんだから座ったままでも余裕でしょ。とりあえずボクが寝るまで頭撫でといて」 「マジで猫そのものだな」 うつ伏せで寝てるからレッドの顔見えないけど、多分肩を竦めて鼻で笑った。その振動で膝の上にいるボクまで揺れる。ゆっくり寝たいからじっとしてて欲しいんだけど。しょーがないからそのくらいは許す。 516 masasi9991DONE嫉妬しているレッドのレクセル嫉妬「何? 何何、ちょっとレッド!」 抗議の声を上げても全然返事もしない。無言で手掴んでボクを引っ張る。居住区の閑散とした廊下をズルズル引きずって連行。今がヒトの少ない時間帯だったからいいものの、ボクがこれ以上騒いだら児童誘拐として通報されちゃうんじゃないの。そしたらまたイレギュラー扱いに逆戻りだね。 「ねえってば」 多分プライベートルームに戻るまではいくら呼んでも振り返らないだろうなって気はしてるけど、無視もしきれないみたいでちょっとだけ反応がある。チラッと横目でボクの方見てるような。引きずられるままじゃわかんないから、その広い歩幅にどうにか追いつくために駆け足になる。 「レッド」 いつものコワイ顔。目が特にコワイ。沈んだような色をした隻眼は鋭い刃物みたいでカッコいい。その中心のレンズ部分がスッとボクの方へ動いて、高い位置から問い詰めるようにボクを見た。 769 masasi9991DONEハロウィン前のレクセルハロウィンの準備「ボクって何を着ても似合っちゃうからさ」 「だから?」 「何にしよっか迷ってるんだよね。レッドはどれがいいと思う?」 言葉だけで選んで! って言ってもどうせどれもピンと来ないとか言い出しそうだから、ボクは先手を打って持ってきた衣装をよく見えるようにベッドの上に並べ始めた。さすがに目の前にあれば、これとかあれとかぐらいは答えるだろう。ボクはレッドのことよーくわかってる。 「なんだこいつは? どこから持ってきた」 「ハロウィンの仮装だよ。ほとんどレッドアラートのみんなのお下がりだけど、これは新しく買ったやつ! これが一番似合うと思わない? かっこいいし!」 「ハロウィン。そうか」 「いや、そうかじゃなくて」 完全に忘れてた、みたいなのはいいとして、なにか思いついたみたいなその顔は? 選んでって言ってるのにやっぱり聞いてなくて、ボクとたくさんの衣装を置いといて棚の中を探り始める。何? と思ったらすぐに戻ってきて、 829 masasi9991DONE膝上レクセルレプリの寝言「だぁめだって……レッド、もうちょっと……うう、せまいよぉ……」 背を丸めて、膝の上に置いたどデカいパーツをいじくり回す。旧型の磁力発生装置だかなんだかという話だが、完全に沈黙している。ただの鉄の塊だ。この中のレアメタルを取り出したいんだが。 もう片方のの膝の上でゴニョゴニョと文句を言っている奴がいる。こいつのせいで、作業が一向にはかどらない。 「狭い」 「それはボクのセリフだってば」 ヒトの膝を枕にして占領しておきながら、随分なことだ。 「寝言を言うレプリロイドってのも珍しいな」 「寝言じゃないよ、起きてるよぉ」 「何を言ってるのかよく聞こえねえな。それとも起きてるなら手伝うか?」 「ヤーダーめんどくさい! そんな雑用レッドひとりでできるじゃん。ボクはここで寝るの」 458 masasi9991DONEハッピーゼロクスのサビ彼の日課 疲れて自室に戻ってきて、そのまま寝てしまいたいのをこらえてどうにかやるべきことをやっつける。 ひとまず自身のボディのクリーニングと、ベースのメンテナンスルームでするほどじゃない細かいパーツの手入れ。オレばっかりスタッフの手を煩わせちゃ、他のハンターたちにも申し訳ないし。それが終わったら明日の出動の準備もある。ついでに緊急出動用の準備もすぐに使えるかどうかチェックして、OKを確認したらやっと一息をついた。 読みかけの本をベッドの上に見つけて手に取る。いつこんなところに放置したっけ? 横になって読んでいたらすぐに電源がオフになりそうだ。それもいいけど、その前に少し夜食でも……なんて思ってしまったのは、今日の勤務が忙しすぎて、最後にエネルギー補給をしたのが昼過ぎだったからだ。 1557 masasi9991DONEごはん食べてるだけのゼロクス味覚について スッと視界に白い手が割り込んできて、そのままランチボックスの中身をつまんだ。 「あ」 「もらうぜ」 いいよ、と答える前にそいつはゼロの口の中に放り込まれた。咀嚼する。食べながら、オレの隣に腰を下ろす。 「……うん、なるほどな。どうした? やけにまじまじと見つめてくるじゃないか。もしかしてもらっちゃ悪かったか」 「いや、君がものを食べているのをあまり……見ないなと思って」 「合理的じゃない」 「そうだね。君はそう言うと思った」 昼時の休憩所の食事スペースはハンターベース職員のヒューマン、レプリロイド、両者で賑わっている。近くに軽食の売店も併設されているが、ここを利用するのはどっちも全体の半分ぐらいだ。ヒューマンには安価で便利な流動栄養食が流通しているし、レプリロイドならエネルギーステーションを利用する方が早い。それでもここで食事を摂っている約半数のオレたちは、要するにそういう娯楽を休憩中に楽しんでいる、と。これは趣味の問題だ。で、そういう趣味のなさそうなゼロ隊長が珍しくここに来ている。なので少し目立っている。 996 masasi9991DONEレクセルとお酒の話お酒の話「ねえ、それっておいしい?」 錆びかけた椅子とカウンターテーブルがにわかに軋んだ音を立てた。近くの席に座っていた客が何人か、ビビって椅子を揺らしたからだ。こいつが何の前触れもなく現れやがったから。 「急に出てくるんじゃねえよ。どうやったんだ?」 「へっへっへ。教えなーい。ボクの能力ってヒミツが多いからさ」 妙な理屈ではぐらかそうとするこいつの手から、無言でグラスを取り返す。返して、なんて言ってるが元々オレのだ。中身は減っていない。色と味の付いたアルコール。 「ねえレッド、それおいしいの? ボクにもちょうだい!」 「お前にゃまだ早い」 「いいじゃん、ねぇ? お姉さん、お店の人? ボクにもおんなじの」 「駄目だ。マスター、何も出さなくていい」 1083 masasi9991DONE寝起きのレクセル朝のお決まり 意識は、タイマーで仕組んだ通りの時間に覚醒した。起き上がり、アーマーを身につける……が、その前に日課がある。大したことじゃない。体内の時計がずれていないかどうか確認する。 部屋の壁にアナログの時計をかけてある。下手に入り組んだ機械より信用できるそいつへ視線を向けた。まだ起動したばかりで起き上がるのもダルい。 「おい、アクセル」 「ン?」 呼ぶと、振り返りもせずに返事をしやがった。それもかなりおざなりだ。 「邪魔だ」 「んーんー、なんで? んん。おはよ」 ベッドの上で背伸びをしている。で、振り返らない。オレが見たかった時計の前を遮って、座ったまま何度も、だ。アーマーなしの背中に背骨状のラインが浮き上がり、腕を上げて伸びるたびに小さく揺れる。 703 masasi9991DONEレクセルいちゃいちゃしてるだけなんでもないとき「ぐっ」 なんか潰されたみたいな声出してた。らあしくないっていうか、わざとらしいっていうか。 「……オイ、アクセル」 「んー?」 せっかくいい感じのベッドにうつ伏せに寝てたのに、レッドがグイグイ押してくるからゴロンと転がって仰向けにされた。天井のライトが眩しい。仰向けって気分じゃないんだよな。レッドの手がどっか行ったから、逆向きに転がって元に戻る。 レッドのお腹の上。レッドとボクの身体がちょうど十字になるように寝てる。最初にベッドの上に居たのはレッドの方だから、ボクはベッドに対して正しくない方向で寝てるわけだ。そうすると大きいベッドだけど足ははみ出る。足がぶらんぶらんって、宙に浮いてるのがちょうどいい。 679 masasi9991DONE野宿してるレクセル野宿のときの「わざわざこんなところに入り込む必要があるか?」 「ある! なんにもわかってないなぁ、レッドは」 「ああん? いったいどんな理屈があるのか説明してもらいたいもんだぜ。お前の気まぐれには――」 「ボクの話じゃなくてレッドの話。レッドは、レッドのことちゃんとわかってないなぁって思うんだよね」 振り返って肩越しに、レッドの顔を見上げる。もう辺りは暗いし体勢のせいでよく見えない。ていうか、目、合いそうになったのに逸らされた。 そのくせちゃっかり両手はボクの肩の上に置いてあるんだからしょうがないなぁ。めんどくさそうに文句は言うけど膝の上からボクをどかそうとしないもんね。 「だってさ、アジトでは寝るときいつもボクを抱いて寝るじゃん」 730 masasi9991DONEレクセルの出会ったときの話つながる「大丈夫、誰もいないよ。もうみんなどっかに行っちゃったみたい」 返事は、言葉じゃなかった。もうかなり昔に打ち捨てられたらしい旧世代的なコンクリート造りの住居の中からかすかな振動だけが聞こえた。頷いて、そのかすかな衝撃でボディが軋んだ音が。 よかった。この距離でもセンサーは反応してるらしい。 もう一度、その見渡す限りのなんにもない荒野に――たぶん、やっぱりずっと昔の時代に街ごと捨てられちゃったみたいな風景を――向き直ってぐるりと一瞥した。もちろん動くなにかの影もない。敵もいないし、元から味方なんていない。風が吹いて乾いた道路の上を砂埃が通り過ぎていく。むしろ誰か……敵でもいいから誰かいてくれた方がマシって気分になるような、憂鬱な真昼の明るさだ。それは理屈にあわない感情だけど。 3660 masasi9991DONE寝起きのレクセル早起きの話 設定した時間通りに目を覚ました。体内の時計は正常だ。だけどいつもみたいに寝たいだけ寝て起きて、な朝より目覚めは良くない。ボディの回復が不充分とかなんとかってより、気分の問題だ。 でもしょうがない。どのくらい早く起きたら間に合うのか、わかんなかったんだもん。昨日の夜急に思いついたから。 さて果たしてボクは間に合ったのかな? ベッドの中でこっそりモゾモゾ動いて様子を伺う。 レプリロイドはほとんど寝返りを打たない……ので、動いてるのに気付かれたら起きたことが即バレてしまう。もちろん、バレるかバレないかってのもレッドが起きてるかどうかによるんだけど。でももしかしたら、レプリロイドの滅多にない寝返りくらいの振動で覚醒する設定でスリープモードに入ってる可能性もないとは言えない。 975 masasi9991DONEなんか食べてるだけのゼロクス視線 視線が、気になる。隣に座っているゼロのカメラ・アイ。こっちを見ているような気がする。でもそんな気がしてるってだけで実際のところ、真横というのはオレの死角であって、ゼロのその青いガラス質の奥にあるカメラのレンズが本当にこっちを向いているのかというのは、確証がない。顔がこちらを向いているのは確かだ。でも視線まではわからない。 事実としてはそうなんだけど、それでもやはり視線が気になる。非合理的だが感覚として。こんな感覚はレプリとしては少し変なのかもしれない。 そんなに見つめられると……というのは、自意識過剰だ。 「エックス」 「え?」 「そんなに不味いか、それ」 「これ? いや、不味くは……どうかな。味のこと考えてなかった」 645 masasi9991DONE本編前のレクセル何処へ「なんだ、戻ってたのか」「なんだって何?」「いや、別に意味なんかねぇよ」 特に深い意味なんかないって感じで、レッドは軽く首を振った。「帰りが遅いとか心配してたんじゃないの」「そんなガキでもないだろう?」「フフン、まあね。ねー、今日もう疲れたからここで寝ていい?」「その泥だらけのままベッドに上がり込むんじゃなけりゃな。身体洗ってこい」「だってシャワー空いてなかったんだよ。レッドの部屋の借りるね。……にひ」「今の変な笑い方はなんだ?」「なんかさー、さっきのレッドのセリフ、変態みたいじゃなかった? シャワー浴びてこい、みたいなの」「馬鹿か」「にひひひ。帰り遅くなっちゃった分さ、サービスしてあげるから期待しときなよ」 シャワールームに向かいながら大声でそう言うと、レッドはろくに返事もしないかわりにわざとらしくため息をついて、肩をすくめてみせた。 レッドの部屋に併設してあるそれは、居住区にある共用のシャワールームよりは設備が多少マシだ。ちゃんと設定した温度通りのお湯が出る。急に妙な色や匂いのヘドロが交じることもない。もちろん突然水が止まることもない。 1949 masasi9991DONEキャンディー食べてるレクセル前時代の嗜好品「おはえり。おひょかったね!」「あん?」 変な声を出してやがる。そもそもここはオレの部屋だ。オレの居ない間に何をやっていたんだ。色々言いたいことはあったが、いちいち口に出すのも面倒だ。 くるっと振り向いたアクセル口に、細く白い棒が咥えられている。「どうした、それ」「ねへ、アーマーぬいれよ」「口ン中に物入れたまま喋るなよ。と、お、おい」 いつものことだがロクに人の話も聞いてねぇ。グイグイこっちに来てベッドの方へ詰められ、座らされる。そのまま装着してたアーマーを次々と解除され、身ぐるみを剥がされた。 床にアーマーパーツが次々と転がっていく。「誰が片付けると思ってんだ」「らってじゃまなんだもん。あひた、片ひゅけたらいいよ」「明日になったらまた装着するんだよ。しょうがねぇな。で、これは?」「ん」 膝の上に乗ってきたアクセルの、口からはみ出している白い棒を指で下から持ち上げる。するとアクセルは口をとがらせた。唇の間からどうも甘い匂いがする。「まひでおみへがれてたからかった。ひゅらむの子たひで流行ってりゅって。あえないよ!」「いらねえよ」 棒を引 1337 masasi9991DONEエックスとアクセルがなんか喋ってるゼロクス花のこと 朝、誰よりも早い時間にエックスがハンターベースに出勤してるのは特に珍しくもないことだけど、今日はその手にちょっと珍しいものを持っていた。 多分それに必要なのは水と太陽の光と酸素と電池……あとは、伝統的には花瓶かな? でもそんな骨董品がこんなところにあるわけないから、エックスはしばらくオペレーター室のあちこちを探し回ったあと、結局特にいいものが見つからなかったらしく自分がいつも使ってるガラス製のコップに水と電源を突っ込んでいた。「そのコップ、割れちゃったりしないかな?」「大丈夫じゃないか。何度か床に落としたりしてるけど、意外に丈夫だ」「へー、エックスもそんなそそっかしいことあるんだ」「緊急で出撃要請が出たりすると、時々な」 エックスは少し照れくさそうにそう言った。でもボクがハンターベースに来てからは、そこまでそそっかしいエックスの姿は見たことがない。結構昔の話なんだろうか、と昔っぽいデザインのガラスを見て想像する。 それにしてもシステムの電源からコードを拝借して水の中に直接ケーブルを突っ込んでるから、なんだか見た目にはやっぱり危なっかしい。わざわざ有線で電力 1582 masasi9991MAIKINGレクセル初夜の続き まだ続く前→https://poipiku.com/955041/3924523.html2021/05/19追加□2021/05/24追加□22021-09-22追加□3 7508 masasi9991DONEレクセルいちゃいちゃしてるだけ大作戦 その顔を下からじっと見上げると、少し意外そうに目を見開いた。でもなんにも言わない。それじゃちょっと違うんだよな。 じゃあ次は、もっと顔を近づけてみる。勢い付けすぎて、鼻がぶつかる。……その前にレッドはベッドの上に座ったまんま、後ろにちょっと下がった。「なんで逃げるの」 と聞いたら、今度はフッと鼻で笑った。 む。 そうじゃない。なかなか計算通りにいかないな。もっと近づいて……でもまた逃げそうだから、押さえつけとかないと。動けないように、膝に跨って乗った。 それからさらにぐいっと顔を近づける。ギリギリまで背伸びをする。そしたらレッドは後ろに軽くのけぞった。でももう動けないし、後ろは壁だ。もっとのけぞったら倒れて壁に頭ぶつけちゃう。 もうちょっと。レッドを追いかけて前のめりに背伸び。いや、近づくだけじゃダメなんだ。「何がしたいんだ」「あ、喋った」 と思ったものの口を開けてたのは一瞬で、次の返事は肩をすくめるだけだった。 全然うまく行かないぞ。次はどうしよ? 考えてる間に前のめりになりすぎて、レッドの胸の上に倒れてしまった。「口開きっぱなしだ」「んに」 2742 masasi9991MAIKINGなんかそういう割と平和な時代のゼロクス続くかも<性行為同意書アプリ>の続き(前日譚)みたいな感じhttps://poipiku.com/955041/4131800.html初めての同意書□1 腕時計型のウェアラブル端末に、数日前に支給されたアプリを立ち上げた。白いバックグラウンドに飾り気もなく日付と時間が表示され、アプリタイトルが右下に小さく浮き上がる。少し待つと、青いライトで空中に入力欄が照射されるようになっている。この時間差が考え直させるために重要らしい。ということまでは把握している。だけどそれも待たずに端末の表示を落とした。 ため息、あるいは深呼吸。ドアの前で暫く突っ立っていた。踏ん切りがつかない。 もういちど端末を胸の前に持ち上げて、表示を開く。突然青白い光で空中にウィンドウが表示され、慌ててアプリを閉じた。 ついさっき、アプリを終了させずに端末を閉じたことも忘れていた。なんだかいっぱいいっぱいだ。誰かに見られちゃいないだろうか、遅れて不安になってあたりを見回したが、ひとまずマンションの廊下には誰も居なかった。平日の昼間だし、そんな心配はいらないか。イレギュラーハンターの休日が不定期で、こんなときには逆に助かる。 それにしてもこいつをどうすりゃいいんだろう。政府に戸籍登録している一定年齢以上の全レプリに支給されたこのアプリだ。支給 1988 masasi9991DONE寝起きのゼロクスちょっとシリアス夢を見ない「ゼロ! いくら休日だからってこんな時間まで寝てるんじゃない!」 レプリロイドも寝言を言う。特に、ゼロのようなスリープモードからの移行に時間がかかるタイプだと顕著だ。 任務中の一時休止からの起動は早いのに、休日ともなるといつもこれだ。この柔軟性の高さも、性能の高さの一つでもあるんだろうけど。「まだ……朝じゃ、ない」「そうだね、もうお昼だ」 さっきからこの調子で、オレはずっとゼロの寝言と会話している。 休日だからどこかへ出かけよう。休みの間に買い出しに行かなきゃいけないものもある。なによりそれが、日々の忙しさの息抜きになる。 だというのにゼロは起きない。一度起きればテキパキと動くんだけど……というより割と短気で大雑把だから、行動はかなり早い方なのに。休日の朝だけはどうしても起きない。「何かいい夢でも見てるのかな」「……ああ」 やっぱり半覚醒状態のまま頷いた。 目を閉じて、ベッドの中に沈んでいる。柔らかなクッションのマットレスに横たわり、物理的に外気と光を遮断する薄手のブランケットに包まれている。これはメンテ用のポッド・ベッドじゃない。もちろんゼロの自 2565 masasi9991DONEレクセルとゼロクス アホしかいないR18ですがシーンの描写はなしX7後、レッドが復活してる時空 5355 masasi9991DONEゼロクスの平和な日曜日と小さな事件日曜日とマーケットと小規模な事件 全速力で走っても普段の半分の速度も出せやしない。この軽量スニーカー風のフットパーツでもダッシュ用に多少のジェット噴射はできるけど、そんなことしたらそこら中の人にぶつかってしまう。 日曜日の晴れた青空と綿毛の花びらが舞う平和な並木道。こんなに焦ってるのは、オレひとりだ。「どいて、……あ! すみません! どいてください!」 どうにか大声で謝りながら、道を開けてもらって、時には失礼にならないように押しのけながら、走っている。 これほど人が集まってるなんて予想外だった。公園の入り口あたりじゃ、まだそこまでの人出じゃなかった。だから急がなきゃと思った通りに走り出してしまった。ところが二つ目のゲートを越えて広場に続く並木の道に差し掛かると、だんだんと人混みが激しくなってきた。混雑のあまり前がろくに見えないほど。それはオレの背が低いせいもあるんだけど。 何しろ今日の予定は買い物だけだったから、ほとんど武装をしていない。そう、いつものフットパーツも置いてきた。なおさら目線が低くなる。フットパーツの高さなんて数センチ? その程度でも、オレの身長じゃ大問題 3033 masasi9991DONEX6のOP前のゼロクス晴天の廃墟 通信にノイズが混ざり始めた。高強度の電磁放射障害が残っている地域だからなのだろう。それを裏付けるように、割れたアスファルトの上に残った無数の人とレプリロイドの遺体はほとんど全てが無傷のままで、ただカラカラに干からびている。「き……える? エッ……ス、……なし、周囲に……反応、なし。安……確保……した……から、すぐに戻……」「大丈夫だよ、エイリア。誰も居ない」「ええ、だ……今すぐ……」 ブチン、と一際大きなノイズが鳴って、以降通信が完全に途絶えてしまった。 少し戻って、また通信を繋ごうか。どの辺りまで調査するつもりなのか、ちゃんと計算して伝えておく。その方がエイリアにも、ベースで待っている皆んなにも、心配をかけずに済む。 ほんの一瞬だけそんな風に悩んだが、やっぱり振り返るのは止めにした。今は一分一秒が惜しかった。 周囲にエネルギー反応はない。十日も前にはこんな筈ではなかった商店街は、天井にかかったアーケードの屋根が全て吹き飛んでしまって、金属製の何本もの柱だけが数百メートルの向こう側まで規則正しく並んでいる。道の両側のビルの多くは崩壊。ここは、廃墟だ。もち 1149 masasi9991DONEレクセルの初夜ゆっくりじわじわ更新中2021-03-14追加 □以降2021-03-24追加 □2個目2021-04-07追加 □3個目次→https://poipiku.com/955041/4296469.html 9801 masasi9991DONE何かと戦っているエックスとゼロ先輩TRAGEDY 首が飛んでった。一つじゃない。いくつもだ。首だけじゃない。腕も足も胴も。一人じゃない。被害状況は? 考える暇はなく、情報も足りない。それはもはや俺の仕事じゃない。 肉塊から吹き出した飛沫は混ざり合って一塊に路面に飛び散った。跳ね回る雫はどうせ全てひび割れたアスファルトの上へ落ち、やはり皆んな混ざって流れていく。 薄暗い曇り空のビル街の隙間の時折雲間からちらつく昼間の光の反射する血液の表面の脂質様の虹色の光沢が未だ熱を持ち湯気を上げる、冬の市街に白い湯気を一種幻想じみた白さを、人血による霧が浮かび足元はぬかるむ、走れば血と肉が跳ね上がる、人混みを掻き分けながら、まだ生きている人々の群れを掻き分けながら、瞬時奪われていく命をセンサーに感じながら、命、悲鳴、首、体温、血液、呼気、言語、臓物、皮膚、眼球、衣服、排泄物、頭髪、飛んでく。両眼のカメラ・アイが曇る。「十三地区へ! 十三地区方面へ逃げてください!」 カメラ・アイの曇ったレンズは瞬き一つでクリアになる。 オペーレーターからの通信でリアルタイムに届く避難経路をそのまま口に出して叫ぶ。誰にも聞こえていない。上 2379 1