経験値の不足「変な格好だな」
「……は? 他に言うことあるんじゃないの」
さすがに呆れた。この反応は、予想できなかったわけでもないけど……どうせそんなところだろうと冷静に考えてみればわかってたけど、だからってムカツクことはムカツク。
だってもうちょっと他に言い方っていうか、あるじゃん。イメージに合わないとかさ。ボクってどっちかっていうと清純派なわけじゃない。だからこういうのはイメージと違うとかって言うのならさ、わかるよ。でもそれもギャップがあっていいと思うんだよね。
って思うんだけどさ、それ以前の問題。
「正気か? お前がその貧相な身体でそれを着ようって? 愉快なこと考えるモンだな」
「愉快じゃなーいー! ちゃんと想像してみてよ、絶対似合うから」
「フッ、ハッハッハッハッハッ」
「な、なんか笑うにしても微妙すぎない? ホントに想像した?」
盛大に苦笑みたいな。そんな笑い方ある?
「想像したさ。似合ってなさすぎてこっちが恥ずかしくなっちまう」
「レッド、想像力が貧困すぎるんじゃないの」
「フッ」
ひたすらお腹抱えて笑ってる。お腹抱えて苦笑してるって状況として絶対おかしいよね。絶対ちゃんと想像してないし、そもそもろくにこっち見てもいないし――。
絶対これボクに似合うって。絶対ね。確かにカタログに載ってた着用例のモデルとボクじゃ、体型も雰囲気も色々と違ったけど、ボクの予想ではボクみたいなスレンダーな体型のレプリの方が、似合うはずなんだ。
今すぐそれを分からせてやる。
「……おい、なんで脱いでんだ」
「だってアーマーの上から下着付けたらおかしいじゃん」
「ブフッ……想像しちまった。いやそうじゃなくて、ここをどこだと」
「ここはレッドのプライベートルームでーす。ていうかなんでこんなときだけ想像力たくましくしてんの」
「そいつはもういいからヒトの部屋でわけのわからないことをするな」
「ワケはわかるじゃん。ていうか……あれ? これどうやって着るの?」
「クックックック……やっぱりお前じゃ様にならねえよ。本当に愉快なヤツだな、アクセル」