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    masasi9991

    @masasi9991

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    採掘中のデググラ

    ##デググラ

    冬の気分 洞窟の中、新たに見つけた鉱脈を辿って登ったり降りたり掘り進んだり危険な足場を渡ったりしてやっとたどり着いたそこは圧巻だった。ここまでの苦労で熱くなった身体もすうっと冷えるような、幻想的な場所……採掘師にとってはとんでもない穴場だ。
     上も下も前も後ろも、四方八方どこを見ても透明なクリスタルに覆われている。どれも非常に透明度が高く、まるで氷でできた洞窟の中に立っているかのようだった。それにクリスタルの中に、自然発光する鉱石が混じっているのか、灯りを掲げるまでもなくあちこちでキラキラと光が反射している。洞窟の中だってのに、やはりまるで凍りついた冬の星の夜を思わせた。
     息をゆっくり吐いたら白くなるような錯覚まで覚える。確かに洞窟はいつでもひんやりとした空気が漂っているが、実際には息が白くなるほど寒いわけじゃない。頭ではわかっているんだが。
    「ううっ、寒いなあ」
    「あはは。キミもそう思うか?」
     隣でデグダスが自分で自分の身体を抱いてぶるる、と震えた。いつも通りのタンクトップで、いかにも寒そうな腕には鳥肌まで立っている。
    「温めてやろうか?」
    「いいのか?」
    「おれは厚着してるからな」
     おれがうなずくと、デグダスはおれを後ろからぎゅっと包み込むように抱きしめた。
     暑い。やっぱりキミも、ここに来るまでにかなり体温も上がって汗もかいている。だけど見ている景色はまるで冬のようだし、やっていることも冬にやるようなことだ。暑いけど、なかなか楽しい。
    「でもこれじゃまるでおれが温めてもらってるみたいだな」
    「うん?」
     もしかして、キミはいつものうっかりで、逆のことをしてしまったのか? キミらしいな。上の空の返事はきっと、自分じゃ気付いてないってことだろう。
     思わず吹き出しそうになったが、腕の中からキミの顔を見てぐっと飲み込む。
    「うーん。これは採掘のしがいがあるぞ……。しかしこの調和を崩さずに掘るには、どこから手を入れるべきか……」
     キミの目は、既に情熱を燃やす採掘師の目に戻っている。もちろん、邪魔なんかできない。ここはキミに任せるべきだろう。
     息を潜めて静寂に落ち着くと、また一層冬の夜のようになる。それもかなり、暖かで楽しい夜だ。
     こんな不思議な体験、採掘師の特権だろうな。
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