補給 ソファの上にグランツがうつ伏せに倒れている!
こんなとき、引っ越しのときにグランツが言った通りに大きめのソファを買っておいてよかったと思う。おれも一緒に横に座ると、まさにぴったりサイズとなるのだ。
とはいえそれは並んで座ったらの話であって、グランツがうつ伏せに倒れているとなると話は別だ。
「グランツ、ただいま」
「ん、おかえり」
ソファに倒れたグランツはお返事の声までまさにぐったりとしており、だんだんそこからずり落ちていくのだった。
おれが隣にお邪魔すると少し顔を上げておれを見つめる。なんともせつなそうな顔だ。そしてやはりそのままずりずりと床に落っこちてしまいそうになるので、両手で支えてソファの上に引っ張り上げた。
「よいしょよいしょ。どこか痛いところ、具合の悪いところはあったりしないな? もしそうならすぐにお医者さんを呼ぶぞ」
「ああ、うん、大丈夫だ。疲れているだけなんだ。キミも知っての通り……」
グランツは全身の力を抜いておれにされるがままにソファの上へ……と思いきや、さらにもぞもぞ動いておれの膝の上へ上半身を乗り上げてきた。おれの膝がほんのり温かくなる。少しは元気が出てきたようで安心だ。
「ちょっとここ貸してくれ」
「おう! いいともいいとも。おれの膝でよければいつでもどうぞ。あとで返してくれ!」
「あっはは。それっておれの膝で返してもいいのかい?」
「むっ……? もちろん、そのつもりだが……」
「あっはっはっは。ああ、疲れがもうどこかに消えてしまいそうだ。やっぱり毎日一回はこうしてキミを吸わせてもらわないと」
「す、吸う!? ……エッチな話か?」
「ふっ、あはははははは!」
急にそんなことを言い出すから思わずおれは小声になってしまった。だってグランツがおれを吸う……? となるとお口で……? そうなのか!?
しかしグランツはおれの膝の上でジタバタしながら大笑いするばかりで、おれの質問に答えるどころではないようだった。