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    masasi9991

    @masasi9991

    妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど
    平和なのと燃えとエロと♡喘ぎとたまにグロとなんかよくわからないもの

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    masasi9991

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    人間と戦っている大ガマさん

    ##妖怪ウォッチ

    部外者 この廊下は、どこに続いているんだ。
     真っ暗だ。天井のLEDは強烈な光を放っている。だけどその白色は拡散されにくい性質の光であって、眩しいのはこの細長く四角い廊下だけらしい。
     窓の外は真っ暗だ。固く扉の閉まった教室の中も真っ暗だ。東野と宮本が職員室に電気と鍵を確認しに行ったけど、あいつらはもう逃げ帰ったのかもしれない。それが賢明だ。こんな馬鹿馬鹿しい……馬鹿馬鹿しい肝試しなんか……夜の学校に忍び込むなんて……そんな馬鹿らしいことしたって……なんにも意味なんかないのに……あの二人は誘ってもいないのに……ただ邪魔なだけ……。
     逃げて家に帰ったんだ。きっとそう。だからいなくなった。そんだけ……。
     私は一階にはなにもしてないし。職員室の周りに人が来ることなんか考えていなかったし。勝手についてきた奴らのことなんか、知らない。
     ただ平井と南と七橋のことは上手くいった。考えていた通りに上手くいった。何も怖くない。自分の手でやったんだから。怪談なんかじゃない。
     あとは私もできるだけ早く家に帰るだけなんだ。この廊下を抜けて。走って。逃げて。
     何から?
     ずっと走っている。
    「こりゃ妖怪の仕業だな」
    「知らない」
    「それも結構強力な妖怪だぜ。このオレ様まで巻き込まれちまったんだから間違いない」
    「知らないよ! 妖怪なんかいるわけないじゃん!」
     一緒に廊下を走っている男子がゲラゲラ笑う。誰だこいつ……。夜の学校に忍び込んで肝試しなんて、馬鹿じゃないの。
    「妖怪の仕業じゃなけりゃさっきの女学生はどうして急に首を吊っちまったんだ?」
    「急に死にたくなったんでしょ……そんなの……」
     息が切れる。切れない。まだ走れる。逃げなきゃならない。こんなとき、人の身体はとても便利にできているらしい。アドレナリンが出ている。ちっとも疲れない。
    「警察に連絡した方がいいんじゃねぇか。スマホねえの」
    「ここ、圏外だし」
    「どっかに公衆電話があるだろ」
    「あるけどッ職員室の隣だからッ」
    「行かねえのか、職員室に」
    「だって階段が……」
     階段が、どこにもない。廊下が続いている。真っ暗だ。窓の外には何も見えない。教室の中も何も見えない。細長く四角い廊下だけが白く眩しい……。
    「妖怪の仕業だぜ」
    「そんなのいない! 馬鹿馬鹿しい!」
    「それじゃ残りの四人を殺したのは誰なんだ」
    「妖怪じゃない……自殺……」
    「明日警察が来たら他殺だと簡単にバレるだろうぜ」
    「殺人鬼がいる……だからみんなで逃げようって……」
    「そんなのいねぇよ、もう」
     見知らぬ男子生徒がゲラゲラ笑う。走りながら笑っている。よくもまあ、こんな速度で、全速力で、廊下を走って、息も切らさず、下らないことばっかり喋って!
    「オレもそろそろここから出たいんだ。全くこっちは巻き込まれただけだぜ。理科準備室に野暮用があっただけなんだ。いい加減認めてくれよ。これは妖怪の仕業だ」
    「妖怪なんかいない!」
    「参ったな……認めてくれないとやり辛いんだよ」
    「何を……」
    「そりゃ殺しをさ。お嬢さんだって同じ人間を殺るのなんか簡単だと思ったんだろう?」
    「は?」
     私は、走っている。息も切らさずに走っている。いつの間にか肝試しに合流していた知らない男子も一緒に逃げていた。そいつは、私と同じように廊下を走って、……走って、……走って。
     天井に逆さまの顔。
     青白い顔が見下ろしている。
     上下逆さまに、天井に足をついて、後ろ走りで、全部逆さまで、廊下を走っている。
     私の前を走りながら。私を見下ろして笑いながら。
    「オレもやっぱり同じ妖怪の方が殺りやすいよ。昨今の社会情勢だとさ、人間を殺すと色々面倒で」
    「知らない」
    「五人も殺せばお嬢さんも立派な妖怪さ」
    「誰? 誰? 誰? 同じクラスじゃない? 学年違う?」
    「あ、結構この制服似合ってる? いいね、随分若く見てくれてるらしいな」
    「誰」
     ゲラゲラ笑っている。人間の声じゃない。奇妙に膨らむ喉が鳴らす音。延々続く廊下の天井を後ろ走りに息も切らさず走っている。
    「一応言っとくけど、オレの要求はここから出して欲しいってだけだ。でもお嬢さん、アンタが誰も逃したくないみたいだから仕方なしに、だ」
     この廊下は、どこまで続いている。走っても走っても、どこにも行けない。誰も逃さない。
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