過去ログ11レッドグレイブの路上には未だに瓦礫が転がり、とても復興が進んでいるとは思えない有様だった。
流石に枯れたクリフォトの根は撤去されたようだが所々に白い根の残滓が風に吹かれて転がる。最初こそそれらを拾ってはご自慢の腕で握りつぶしていたがそれにも限りがある。忌々しそうに転がる死んだ根の残骸を睨みつければ短い銀髪を掻き上げた。その指に感じた毛先はパサつき埃っぽい。
「ああクソっ……!やってらんねえよ」
ここ最近は晴天が続いているおかげで非常に埃っぽく風も乾いている。
髪がパサつくのもそのせいだろう。巻き上げられた塵で喉がイガイガと乾くのもまたネロの苛立ちを誘った。
分厚い靴底で根の残骸を踏み潰したが気が晴れることはない。そもそもこの街はネロにとっていい思い出はない。らしくもないが、一度のみならず二度も味わった敗北の味がジワジワと喉元に苦く込み上げてくるのだ。
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