S級に認定された日、最初に祝ってほしかった人に別れを告げられた
「私は貴方の信頼すら得られなかったのですね」
強くなることが楽しかった
だが、それよりも彼と肩を並べて戦える事を密かに夢見ていた
「私は貴方に相応しくない…」
「そんな事ないです、なんで…!」
頑張りましたねと褒めて欲しくて、ひたすら走り続けた結果は悲惨だった
「では何故、話して頂けなかったのですか」
「それは…」
プライドが邪魔をして口ごもる
そんな旬を見かねたのか、小さくため息をつく犬飼にビクリと体が跳ね俯いてしまう
「貴方にとって、私はなんだったのですか」
「晃さんは、俺の…」
弁明しようと顔を上げ後悔した
普段サングラスで隠れている瞳が静かに旬を見つめている、情の欠片も感じない冷たい視線に全てが遅いのだと、ようやく理解した
960