Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    rinuda89

    @rinuda89

    私です。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 7

    rinuda89

    ☆quiet follow

    皐月ちゃん不穏小説です。
    お暇な方はぜひ。

    明星ある日、夢を見た。昔の夢だ。自分の夢すら見失い、ただ漠然と今を呪う。明日への希望なんてない。くらがりの奥底でもがき生きている。そんな頃の夢だ。夢だと悟った時、唐突に暗闇のなかに放り出された。あ、もうだめだ。悟る。夜風が身を撫でる。このまま消えるのが一番なんだ。そう思う。景色に促されるように無限に広がるさざなみ浮かぶ星空に身を落としたところで、ふっと目が醒め、解き放たれた。あんなに小さかった体も、鏡面を伺えば余るほどの背丈に変わっているし、傷まみれだった全身も今や恐怖を感じるほどに滑らかだ。外を覗き見ると明星もこちらへ目を向けてきた。明るく、眩しい星だ。あの頃は、何も追うにも枷がついて、こんな星すら見えなかったような気がする。そう感じた夕闇の刹那だった。
    ある日、また夢を見た。これは、いつの夢だ?私は友と大きな舞台に立っていた。自分の音で、友の声で、世界を震わせていた。心から楽しんでいた。友の顔をみようと心からの笑顔を浮かべ振り向くと、そこには裂け目があった。異様に暗く、なにもない。あ、これは報いだ。あの時の報いだ。思う。闇に歩みを進める。今いくよ。友へ告げる。最期に景色を眺めようと、目を開くと‘目があった’。恐怖を感じて、飛び起きた。家のベッドだ。焦って友に連絡をする。変わった様子はなく、安心した。今日は、外を見ても明星はこちらへ興味を示さない。こちらをみないそれだけが、世界を肯定し、包み込んでいるように感じた。
    そういえば、最近はこれ以外にもよく夢を見る。毎回最後に私は死ぬ。ある時は飛び込み、ある時は首吊り、ある時は服毒、またあるときは…あれ、これ、全て‘試みたことがあるな?’そう悟ったとき、目の前で明星が煌々と光輝いた。なにかを訴えているようだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works