バルバロス喜怒哀楽140字ss喜
彼は嬉しかった。
「ひゃあああ!」
ドンガラガッシャーン!!
「あああああ!!」
バサバサバサー!!
「うわぁ!」
ドザゴロバターン!!
そんな音が影から聞こえる度に、
会いに行く口実が増える。
「ふえぇ…バルバロスゥ…」
名を呼ばれると、なお嬉しい。
怒
バルバロスは激怒した。
必ず、かの傲岸不遜の魔王の痴態を大陸全土にすっぱ抜かねばならぬと決意した。
バルバロスには恋愛がわからぬ。
バルバロスは、魔術師である。
奪い、奪われ、寝る間を惜しんでは研究に明け暮れて暮して来た。
けれども恋愛に対しては、人一倍にポンコツであった。
哀
彼は悲しかった。
「ネフィにお菓子作りを教えてもらったんだが、私だとやっぱり上手くいかなくて…ほとんど作ってもらってしまった。」
違う。俺が欲しいのは、その黒い塊の方なのに。
楽
彼は楽しかった。
世話を焼いている時も、
向かい合い紅茶を飲む時も、
背を預け戦う時も、
喧嘩した時だって。
あいつといれば、いつだって。
そして。
「ぱぱー!はやくこっち!!」
そんな存在が、また一人。