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    yuno_sutare

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    yuno_sutare

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    丹穹webイベ書き下ろしで書きました。
    丹恒がだんだん自分に甘くなっているなーっと気にしてる穹くんと、ピノコニーデートするお話です!

    #丹穹
    Dancae

    甘やかさに溶かされる 星核の器こと開拓者である俺は、最近困っていることがある。
    それは丹恒との物理的距離が近すぎる事だ。

     丹恒と宇宙ステーションで出会った時を思い出す。
    穹が目が覚めた時、人工呼吸されそうになったものの態度は依然として冷たく、見た目通りの冷静沈着なクールな青年だった。
     他人とはどこか一歩線を引いたどこか近寄りがたい存在だと感じていたのに、ベログロブでの死闘、羅舟での様々な件があった後、丹恒は憑き物が落ちたように、変わった。
     クールで落ち着いた雰囲気は変わらないものの、仲間への想いが強くなったと感じる。
    否、強すぎるように感じる。

     以前なら俺から丹恒と仲良くなろうと無駄にベタベタとくっついてたが、今は何を言わなくても丹恒は俺の側に立っているし、気づけば常に隣をキープしてくる。
    隙があれば手を繋ごうとしてくるし、列車で2人っきりの時は、少し触れ合うかのように隣に座ってくることもある。
     こんなにも丹恒が変わってしまっているなんて最初の頃からは想像もできない。
    嬉しい変化だと思う。
     心を随分と許してくれているようだし、仲間として大切にされていると伝わる。
     しかしそれ以上の重たい“なにか”を感じる。
    今まで見て見ぬふりをしてきたが、流石に話を聞くべきだ。なのかが彦卿と雲璃へ修行に出ていき、丹恒と俺は2人っきりになり調査を行っていた。

    今がチャンスだ。
     金人港で一服している最中、俺は丹恒を睨みつけるように鋭い目で凝視する。その視線に気がついた丹恒は少し困ったように眉を顰めた。

    「どうした穹、そんなに俺の顔を見て」
    「丹恒あのさ、前から気になってたんだけど」
    「なんだ?」
    「丹恒って他の人よりも俺との距離近いよね、なんで?」
     
     純粋に疑問をぶつけてみた。やはり、この明らかに近い距離感は一度聞かなければ気になってしょうがない。
    じっと見つめると、丹恒は瞳孔を大きく開き、困惑の表情を浮かべた。
    「気づいていたか…」と小さな声でぼやき、ふぅ、と深呼吸をし、テーブルの上に置いてあった俺の右手をぎゅっと掴んだ。暖かく何かを守るように熱い手のひらの中、俺たちは見つめあった。

    「これは俺の身勝手な気持ちだ。だからお前に伝えるべきでないと思っていたんだが……」
    ゴクリと丹恒から息を飲み込む音が聞こえ意を決して伝えられた。
     
    「穹のことが好きだ。恋愛対象として」

     丹恒に握られていた手がさらに強く握られる。
    浅葱色に光瞳からはまるで逃がさないと言わんばかりの強い意志を感じる。
    「俺なんかでいいの……?」
    「あぁ、穹がいいんだ」
    「ゴミとか漁ったり、折り紙の小鳥喋ったりしてても?」
    「あまり目立つ奇行は控えて欲しいが、そこも含めて穹の個性として受け止めよう」

    なんだそれ、あまりにも完璧すぎる……!全肯定彼氏じゃないか!思わず机の上に乗り上げ、不安げな顔を浮かべていた丹恒を思いっきり抱きしめた。

    「じゃあ!俺たち付き合おう!」
    「!!……いいのか?」
    「もちろん俺も丹恒のこと大好きだし!」
    「そうか、ありがとう」

     ほうと息を吐いた丹恒は俺の背中を人撫でして、耳元でささやく。
    「俺の気持ちにこたえてくれたのは、嬉しいが、ここでは少し目立つ……少し離れた場所に移動しないか?」
    丹恒の告白で気を取られていて気づかなかったが、大きな声を出していたせいで、悪目立ちしてしまった。
     今更になって羞恥を感じ、だんだんと頬に熱が集まっていくのを感じる。

    「わかったじゃあそろそろ、列車に戻ろうか」

     お金を払い、手を繋いで店を去った。いつもとは違う帰り道に心がウキウキと踊りだすように、落ち着かない。それも、丹恒が傍にいるせいだ。今まで見ていた景色がなんだかより鮮やかになって見える。
    こうして、俺たちは、付き合うことになった。

    ~~~
     
     
     俺たちが正式に付き合ってから、さらに丹恒が俺に甘くなっていった。
    メッセージで依頼が入りどこか出かけようとすると、都合が合えば一緒についてくることが多くなり、ベロブログにいた時以上に、ミッションをこなす回数が増えた。
     例え離れていても、メッセージを一番送ってくれるのは丹恒だ。『何か困ったことはないか?』『必要な情報や悩み事があればすぐに相談してくれ』と常日頃連絡が来る。
     他の星穹列車のメンバーにもこんな感じで丹恒から来るのか聞いたら、そもそも必要以上に連絡が来たことがないと言っていた。やはり、俺は丹恒にとって特別な存在なんだ。その事実になんだか胸がぎゅっうっと締め付けられるかのように嬉しくて、その日は浮かれてゴミの中に頭を突っ込んでしまった。
     誰かの特別ってこんなになるってこんなにも気持ちいいことなのか。まるで足が宙に浮いたように火照った心が舞い上がる。

     あと、俺の寄行を止めようとしなくなった。
    最近は生暖かい目で「俺の目の届く範囲なら問題ない。程々にしろよ」と言ってくるのだ。以前の丹恒ならドン引いていたのに!!
     丹恒が見つけてきた宝物だって「俺には必要ない、穹に全部やる」とか「穹と居られる時間が1番の宝だ」「穹は俺の一部」とか段々と甘くなって言ってる確実に!
     このままではまずい、いずれ俺は丹恒に甘やかされまくって砂糖菓子みたいに溶かされてしまうのではないか。そんな不安が頭によぎった。これ以上のダメ人間になるのは阻止しなくては!
    そうだ、逆に丹恒に何をして欲しいか聞いてみよう。いつも俺のお願いや手伝いばかりしてもらってるし、俺も立派な男だと魅せるんだ。
     そう意気込み、大股で列車の資料室に入った。
    いつものように丹恒はアーカイブをまとめる作業をしていた。俺が入ってくると、丹恒は顔を上げてこちらをチラリとみた。入ってきたのが穹だとわかると、無表情の顔が少し口角が上がり嬉しそうな表情を浮かべる。
     
    「なあなあ丹恒、聞いて欲しいことがあるんだ」
    「どうした、何か困ってることでもあったのか?」
    「今日は丹恒のやりたいことを手伝うって決めた!何か俺にして欲しいことはない?」
    「急な話だな。また誰かに吹き込まれたのか」
    「違う!いつも丹恒にお世話になってるから、たまには俺も丹恒のこと手伝いたいって思ったんだ」
    「ん……そうだな」
     
     丹恒は顎に手を当てて考える仕草をする。
    すると何か思い出したかのようにハッと顔を上げて俺をみた。
    「ピノコニーでの出来事をまだアーカイブとして記録しきれてないんだ。実際に降りた時間が短くてな。星穹列車にも関わる物だし、文献を実際に集めに行きたいんだ」
    「つまりピノコニーに行きたいってこと?」
    「あぁ、一緒に来て文献を集める作業を手伝ってもらえると助かる」
    「そんなのお安いご用意!早速いこうぜ!」

     こうして、俺と丹恒は2人でピノコニーデートをすることになった。




    〜〜〜

     ピノコニーに着き、株主専用のVIPルームに入る。
    色々な事情で、ピノコニーの株を持つことになったが、その特典の一つにVIPルームにいつでも行けるようになったのだ。
     事件が重なり、一時期評判を落としていたピノコニーだが、流石観光名所というだけあって、少し時間が経てばまたいつものように様々な銀河系から観光客が訪れているので、部屋は常に満室のようだ
     
     部屋に入ると、丹恒と一緒に貝殻のドリームリーフに一緒に浸かる。
     視界が明るくなると共に何度も来た夢の地が広がる。隣を見ると隣には手を繋いだままの状態の丹恒がいた。片方の手で頭を抑えている。どうやら酔ってしまったようだ。
     
    「丹恒大丈夫?」
    「まだこの感覚になれないが…大丈夫、問題のない範囲だ」
    「どっか休んだ方がいいんじゃ…スラーダでも飲む?」
    「その飲み物を飲んだ方が体調が悪くなりそうだ」
    「ハハ!確かにそうかも!」

     冗談を交えながら少し休みを取り、街中を歩き出した。羅浮とはまた違った栄え方をしている夢境の黄金の刻は、巨大なショッピングセンターや広場がある。輝くネオンの光に惹かれるように丹恒の手を引いていろんな場所を歩いた。
     夢境で走っている自動車、飲食店、巨大なガチャマシーンやスロットなど色んなところを巡った。
    丹恒と一緒に巡りたいと思っていた場所に次々と訪れることができた。
     こんなにも楽しいと感じられる日は人生で初めてかもしれない。今までいろんな事件や出来事に巻き込まれ、慌ただしい日々が続いていたので、こうして二人でのんびりと過ごせる時間がなによりも貴重で大切だ。
     こんな時間が一生続けばいいのに、そんなことを心のどこかで願ってしまうぐらいには、幸せだった。
    気づけば数システム時間があっという間に過ぎていた。

    「穹そろそろ列車に戻らないと」
    「え、もうそんな時間?」
    「あぁ、黄金の刻に来てから現実では一日近くは経過してるだろ。いくら、


     姫子さんたちにはピノコニーにいると連絡しているとはいえ、帰らなくては」
    「まじかーあっという間だったな」

     夢境は時間の概念が乏しくなる。朝も夜も関係なくずっと同じ空模様のため、つい今が何時なのかわからなくなってしまう。なんとも恐ろしい場所だ。もう帰ろうかと歩き出したとき、ふと思い出した。
     そうだ、まだ”あの場所”に行っていないではないか!
     丹恒の服を掴み引っ張ると、不思議そうな顔でこちらを見た。

    「どうしたなにかあったのか?」
    「ごめん、最後にどうしても丹恒と行きたい場所があるんだ!」
    「俺と一緒に?構わないがどこだ」
    「ありがとうう!じゃあ俺に付いてきて!!」
     
     丹恒の手を掴み、そのままダッシュで走り出した。
    そこは、ドリームボーダーの奥にある建物の中。まだ構築されてない不安定な夢境の一角。一般人には入ることが許されない場所だ。
     人が多い場所からは離れた“秘密基地”は、空気がガラリと変わり、まるで違う星に来たかのような静けさが胸を通す。

    「穹……まだなのか?そもそもここは来ていい場所なのか……」
    「俺らは株主だから大丈夫だって!それより後もう少しっ!頑張って!!」

     長く続く不安定な道を突き進み、階段を駆け上がったその先に広がった光景は――ドリームボーダーを一望できる展望台。
     ――この星で一番綺麗な宝物だ。

    「!!……っここは?」
    「すげーだろ!!俺も教えてもらった場所なんだけどさ、ピノコニー……いや、今まで行った星の中で一番好きな場所なんだ」

     目の前には朝焼けのように紫色の景色の中登る日は、まるで人々の心を癒し、希望を与える一筋の光のように眩しく輝く。
     そして上を見上げれば、美しく光る流れ星が次々と朝焼けに向かって集約していってる。
     高い場所からドリームリーフを眺めるこの場所は、きっと今しか見られない特別な時間だ。
    惹かれるようにゆっくりと光の元へ足を運び、柵に手をかける。

    「綺麗だ……確かにピノコニーでは幻想的な場所が多く魅力的だが、これほどまでに感嘆される場所は初めてだ」
    「丹恒は賑わっている所より、静かな場所が好きだろ?だから一緒きて見せたかったんだ。……俺の特別だから」
    「……っ穹!」

     瞬間、丹恒は俺の身体を引き寄せギュッと抱きしめた。俺も丹恒の身体へと手を回す。耳元で柔らかく甘い声が鼓膜を揺さぶる。

    「嬉しい。俺のことを想ってこの場所に連れてきてくれたことが、本当に……感謝している。こんなにも湧き立つのは初めてだ」
    「えへへ、丹恒が喜んでくれて俺も嬉しい!」
    「好きだ穹。心から、愛している」
    「俺も!丹恒のこと大好き。いつも俺のこと大事にしてくれてありがとう」

     感情が昂り、2人は寄せ合うようにキスをした。初めは触れ合うようなキス。それだけでは収らずに、口の中を貪る様なキスへと変わる。

    「ん……ふ、ぁッ!丹恒、これ以上は……っ」
    「ン、すまない。昂りすぎたな」
    「もうっ!これだけじゃ我慢できなくなるだろ!!」
    「ハハ、そうだな。じゃあ現実世界に戻って続きをするか」

     今度は丹恒が俺の手を繋ぎ、リードする様に来た道を帰る。俺たちはきっと今日という日を忘れないだろう。
    これ以上ないほど充実して、幸せな日々だった。
     何より丹恒とこうして一緒に居られる日々がなにより幸せなのだから。
     
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