Planet お前を救えなかったあの日も、空の星は輝いていた。
ふっとそんな弱気なことを呟いたら、隣に座る恋人がバカかよと言って軽く小突いてきた。俺は、バカじゃねえよ、お前が好きで心配で堪んねえだけだって返して、肩を軽く叩いてやる。
夜のしじまに消されそうなか細い声で好きと伝え合う。それだけで、十分幸せだ。
* * *
轟々と、熱と有機物の焦げる臭いを含んだ風が吹き荒び、その臭いの発生源の凄惨さが凍てついた目に焼き付けられた。轟焦凍はゆっくりと辺りを見回し、はあ、と息を吐く。また酷く面倒な事件に巻き込まれたな。
火炎系の『個性』を持ったヴィランが出現、ビル一棟を焼き尽くし殺戮の限りを尽くしているという情報が入ったのは三分前。一応現場に駆けつけたはいいが、同系統の個性とはやりづらいし、氷の方は溶かされるしで手が出ない。応援要請して有利な個性のやつが来るのを待つ。打開するには、パワー系個性か水系個性がいるならなんとかなると考えている。氷だと溶かされるが、水なら消火できる。パワー系なら俺がその場しのぎではあるが道を作るから制圧してくれればいい。
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