俺杉 まどろんでいた。だから、いつの間にか夜に近づいているような時間になっていたのかもしれない。畳に座って、壁に背を預けて心地がいい頭の緩みだった。うっすらとまぶたの隙間から見える自室の窓からは、暗い夕方の色と電車の走る音が聞こえる気がする。
寝ちゃってたのか。
脳がそう意識し始めて、深く瞬きが繰り返される。乾きをなくしていく視界には、畳の上の食台と、昼から俺の家に来ていた友人のあぐら姿の影があった。背を少し丸め、こちらを見ているようだった。そりゃあ、一緒にいる人間が寝ていたら気にしてしまうだろう。当たり前だ、申し訳なさが湧いてくる。しかし、共にゆっくりと話をして互いに何かをしながら部屋で過ごす時間は、とても心地が良く眠くもなるものだった。それもまたいいと思える。目の前の友人も、なんとも思っていないだろう。いつもと同じような事だ。
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