11話半分(え？半分…？)顧昀という人はもともと慎ましい性格を持って生まれたわけではない、幼少期の無謀さや軽はずみな言動はすでに西域黄砂に研磨されたとしても、内在的な本質は依然として犬の行動を変えることができないことと同じである。彼は不遜で、態度は傲慢、ここ数年来他人に褒められても叱られても、彼は心中に留めたことはない。

しかし早朝、仮の名を「沈十六」という顧昀は台所でだらだらと酒を飲んでいたが、急に沈易から長庚が彼のところに来るということを聞いた時彼の心情は何とも言えないものだった。

顧昀は生まれて初めて恐縮し、自分の不器用な耳を何組か再生できないことを恨んで、長庚が良いか悪いかを書いているのを一つ一つ聞いて、自分の力が足りないので、子弟を誤らせるのではないかとひそかに心配している。

これは父親になるたびに、「私は将来父のような人になる」と言った子供の話を初めて聞いたときの感動だろう。沈易は尋ねたことがある「もし長庚がお前をを憎んだらどうするんだ」と。彼はその時大言壮語して戻ってきた--実は完全にほら話だった。

顧大帥は千軍万馬の真ん中に静かに登場し、穏やかな表情で義息子の驚いた顔を見ることができることを期待していた--たとえそれが喜びであっても驚いたものでもいい。しかし予想外にも長庚は彼に悲しげな無表情な顔を向けた。

彼は顔には平静を保ちながら、ドキドキとした胸の鼓動を感じた。
顧昀は「しまった、今度は本当に怒っている」と思った。
生まれつき正義に満ち、多くの悪意を経験しても揺れ動く心を辛うじて平静を保つことができる人は珍しいが、長庚にはその潜在力があるようだ。

彼は瞬く間に大きな変化に遭遇し、自分自身の本当の身の上を理解することができず、さらに北蛮侵攻の混乱に巻き込まれた。前途危うい境遇な上に無力であることへの怒り、そして得体の知れない沈家兄弟にも疑問を抱いていた--
しかし彼はこの時依然として葛胖小を救うことを考えていたが目の悪い「沈十六」に対する心配を抑えることができなかった。

道中、長庚は数えきれないほど考えた：今、町は人を簡単に殺すような蛮人ばかりで、沈先生今ここにいて、彼の敷居を踏み入れてから半日も歩かなければならない義父はどうなるのか？誰が彼を守るのか？誰が彼を町から避難させたのか。
様々な心配が渦巻いていたが、「顧昀」という２文字を聞いたときにこの心は燃えて飛び散る灰となった。突然長庚はどんな表情で十六もとい顧昀に向きあえばいいのか分からなくなった。
なんと滑稽だろうか。天下に名を轟かせた顧大帥がなぜ耳と目が悪く病弱な様子なのか。彼が心配される必要がどこにあるのか。
また、天下の大将軍である顧昀がなぜこのような鳥すら糞しない小さな田舎の場所に現れたのだろうか。西域にいるはずの玄鉄営がなぜこんなに迅速に集結できたのか。

あの蛮人世子は不意を突いたのか、それとも他人が掘ってくれた穴に自ら足を踏み入れたのか。これらの考えは長庚の頭の中で花火のように突然燃えあがり、流れ星のように頭を駆け抜けた。

どの事象においても考えを掘り下げることが面倒で、ただただ心が痛むだけだった。--長い間それらのことを心配していたので、もとはただ自分で多情に加えて身の程知らずで、長庚はすでに「恐怖」と「心寒」というものを何か知っていて、絶望と死の淵を経験した。彼は「恥ずかしい」という言葉は実際に人を悲しませることができる。

顧昀は彼が目をが赤くなり反応しなくなったのを見て、ついに腐りきった良心から少しの罪悪感を引き出して彼はため息をついた。多くの敵軍の衆人環視の中で、傍若無人にも片膝をついた。
「殿下、臣はあなたの足の傷を看ます」
慎重にその鋼の足を長庚の怪我をした足から外して、軽い甲を覆った手のひらが足を軽く何回か押して傷の状態を看た。
「あぁ、足首が外れているようですね。が、大事はない。痛みますか？」

長庚は一言も発しない。この子供にはは普段から甘えたり嫌がらせをしたりしているが、急にこんな見知らぬものを見るような彼の目を見ると顧昀は心の中で少し後悔した。しかし後悔したのはほんの一瞬だった。
鉄と石の心を持つ安定侯はすぐに思いきりをつけた：『事はすでに全てやり遂げた、今更後悔したって何の役にも立たんだ』

彼は喜びや怒りといった兆候を見せずに頭を下げ、なんの感情も見せずと長庚の足を持ち上げた。声もかけずに留め具を外すと外れた関節を引っ張り繋げた。
長庚は全身が震えたが痛みを感じることはなかった。おそらくこの瞬間誰かが彼を刺しても彼が痛みを感じることはないだろう。

顧昀は彼を抱き上げて馬の背に置いたが、自分が息子にうまく話ができていないことに気づき、立ち上がり再び蛮族を退治しに行くほかなかった。彼は馬を降り、まるで重い鎧など存在しないかのように顔をあげることなく鮮やかに攻撃を続けた。--