レオナが生け贄になる話 次の日は図書室に行った。蔵書に教師の好みが如実に表れている図書室で知識の海に溺れるのは存外心地よい。いつか読みたいと思っていた本も、もう読めなくなるからと全て読み漁った。昼頃にヴィルが魔法薬学の本棚にやってきて、ちょうどそこにいたレオナに、授業に出ることの大切さを説いてきたが、いつもなら鬱陶しがったそれも生きていることの証のようで、なんだか愛おしかった。
残りの10日間は、「学生らしく真面目に」授業に出ることにした。退屈だとばかり思っていた授業は、久しぶりに真面目に聞いていれば、悪くないと思えた。クルーウェルにもトレインにも、熱はないのかなどとあれこれ心配されたのは誤算だったが。2週間、cladisという単語を聞いたことは片手で数えられるくらいしかなくて、これでcladisの事がなければと何度も考えた。
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