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    あんずじゃむ

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    レオナさんが生け贄になる話後編です。バッドエンド注意。いつもの態度からはわからないけど、実は皆の事をすごく大事に思ってるって良くないですか

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    レオナが生け贄になる話 次の日は図書室に行った。蔵書に教師の好みが如実に表れている図書室で知識の海に溺れるのは存外心地よい。いつか読みたいと思っていた本も、もう読めなくなるからと全て読み漁った。昼頃にヴィルが魔法薬学の本棚にやってきて、ちょうどそこにいたレオナに、授業に出ることの大切さを説いてきたが、いつもなら鬱陶しがったそれも生きていることの証のようで、なんだか愛おしかった。
     残りの10日間は、「学生らしく真面目に」授業に出ることにした。退屈だとばかり思っていた授業は、久しぶりに真面目に聞いていれば、悪くないと思えた。クルーウェルにもトレインにも、熱はないのかなどとあれこれ心配されたのは誤算だったが。2週間、cladisという単語を聞いたことは片手で数えられるくらいしかなくて、これでcladisの事がなければと何度も考えた。
     そうこうしていれば約束の2週間はあっという間に過ぎてしまって。ついに、レオナが生け贄になる日は訪れる。早朝、学生としての第一礼装であるNRCの制服に身を包んだレオナを迎えに来たのはキファジだった。「お時間でございます、レオナ様。」忠実な宰相は、それでもレオナの死を哀しんでくれるらしかった。鏡をくぐる直前、遺書を各々の部屋へと転移させる。まだ、宛先に書かれた名前の主らはは夢の中だろう。最後に、闇の鏡から夕焼けの草原へのルートを一時的に封鎖する。1日程度で解けるだろう魔法が成功したことを確かめたレオナが、振り返ることは無かった。
     レオナがcladisに身を捧げるのは、不屈の百獣の王が国を見下ろしたとされる崖の上。経路の予測では、昼頃にはcladisは崖の下を通るはずだった。危険だからと付近の住民は崖の上に避難させられていて、崖の上ギリギリに立つレオナの後ろ、数メートル離れたところには、数千人の獣人が犇めいていた。
     と、その時。寮長会議で見慣れたタブレットが、レオナの前に現れた。「ちょちょちょレオナ氏!?何してんの!?ソシャゲのイベントのために早起きしたら枕元に同級生の遺書があるってラノベでも見たこと無いような展開!!!」タブレットから聞こえる大声にレオナは顔をしかめる。「うるせぇよ、カイワレ大根…。しばらくしたらお前の実家に世話んなるってだけだ。もう一体道連れにしてな。」レオナとしてはそれで話を終わらせるつもりだったのだが、タブレットの主―――イデア・シュラウドは凶報をもたらした。「拙者はレオナ氏が何をしようとしているのか分かってますけれども!納得してない人達がこっちに向かってますぞ!?何故かって!?拙者が全生徒のスマホハッキングして超で大音量でがけも流してレオナ氏が置いてった遺書読ませたからですが何か!?」イデアが早起きするとは想定外だった。面倒臭そうにタブレットから目を反らしたレオナは、また顔をしかめることになった。獣人の目が捉えたのは、空を飛ぶ絨毯とそれに乗る2人の人間。カリムとジャミルだ。その背後には、箒に乗る数十人の群れ。ラギーやジャックの姿も見える。さらにレオナの耳には、自身の名や寮長という肩書きを呼ぶ声も聞こえていた。そして、それらに気を取られていたレオナの背後に、ライムグリーンの妖しげな光が灯る。その魔力がマレウスやリリアの物だと気付いた瞬間、レオナは自身の周りに結界をはった。転移魔法を使ったばかりのマレウスにならば破られないだろう、強力な強力な、今のレオナに張れる最高強度の不干渉結界。もうcladisの姿は見えている。崖の下にくるまでなら結界は持続させられるだろう。レオナはため息をついて、ブロットが溜まっていくマジカルペンを見つめる。舞台は整った。
     レオナはおもむろに立ち上がり、詠唱する。「百獣の王、獅子の子であるレオナ・キングスカラーが我が草原に渇仰する。リドル・ローズハートの。トレイ・クローバーの。ケイト・ダイヤモンドの。ラギー・ブッチの。ジャック・ハウルの。アズール・アーシェングロットの。フロイド・リーチの。ジェイド・リーチの。カリム・アルアジームの。ジャミル・バイパーの。ヴィル・シェーンハイトの。ルーク・ハントの。エペル・フェルミエの。イデア・シュラウドひいてはオルト・シュラウドの。マレウス・ドラコニアの。リリア・ヴァンルージュの。―――――我が友の畢生に栄光と幸福があらんことを!供物として、我の魂を捧げる!」凛とした声で、その場にいた全員に聞こえるよう唱えられたそれは、正に王の咆哮だった。レオナが唱えたのは、詠唱者の魂を供物として捧げる古代魔法。純血のライオンの獣人しか使えない、夕焼けの草原の王家に伝わる禁術。効力は、詠唱から数日後から、永遠に続くのだという。レオナがした事を理解したリリアは震えていた。この獅子は、本気なのだと理解したから。先程から結界の外では、NRCから駆け付けてきたカリムやヴィル、ジャミルにラギー達が、レオナの名前を声の限りに呼んでいる。マレウスは、レオナの結界を破ろうと整った顔を歪めてまで魔力を注いでいる。近衛兵達が彼らをレオナから引き剥がそうとしているが、その全員が振り払われていた。
     その様をチラリと見ると、レオナはゆっくりと崖の端へ歩を進める。cladisが、もう崖の下で蠢いていた。レオナは結界を解く。そして崖の下へ身を投げた。「俺には、いつの間にかこんなに大切な奴が居たのか……死にたくねぇなぁ。」cladisにレオナの身体が呑み込まれる直前、レオナの呟きは、NRC生にしか、聞こえることはなかった。
     レオナがcladisに呑み込まれた直後、光が辺りを包む。cladisの巨体が、発光していた。その光が消えた後には、目が覚めるような、翠の魔法石塊があった。レオナの、目の色だ。それに気付いた瞬間、NRC生は涙を流す。レオナの決意も、世界とレオナの優先順位の違いも分かっていて、それでも悲しかった。レオナに犠牲を強いた自分が悔しかった。レオナの最期の言葉を、「死にたくない」にしてしまった。それでも、彼らは立ち上がる。レオナの祈りは、彼らが受け取ったのだから。
     
     
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    あんずじゃむ

    DOODLE監督生(♀)しゃべります 1章後ぐらい
    監督生(♀)が腰まであった髪を切る話監督生は怒っていた。ツイステッドワンダーランドに来てから約2ヶ月。全校生徒の集まる入学式で騒ぎを起こしたり、ハーツラビュル寮寮長、リドル・ローズハートのオーバーブロットの現場に居合わせたとなっては、唯一の女子生徒ということもあって、絡んでくる輩はわんさといる。なかでも最近新たに絡んでくる集団は、少々厄介だった。
    「よう~、監督生。今日は三つあみか?毎日毎日こんな長い髪垂らしてご苦労なこったよなあ。」「こんな長い髪じゃ、魔法も使えねえグズが、さらに足手まといになるんじゃねえか?」「その通りだよなあ。お嬢ちゃん、悪いこと言わないからさっさと元の世界とやらに帰りな!ハハハハハハ!」監督生は嘆息しつつ、無視して歩き続ける。しかし一緒に教室移動をしていたエースやデュース、グリム達が、そいつらの前に立ちはだかった。自分を守ってくれようとするのはありがたいが、次はトレイン先生の魔法史だ。怒ったトレイン先生がどれだけねちっこいか、監督生はこの2ヶ月でいやというほど分かっているつもりだった。あっという間に背後で始まった小競り合いを止めるため、監督生は声を張り上げる。監督生「トレイン先生の授業開始のチャイムまで、残り3分!!!」エース「あ、悪ぃ、監督生。もーそんな時間?」デュース「授業に遅れるわけにはいかない、グリム、急ぐぞ!」グリム「ちぇ、俺様まだ暴れ足りねえんだゾ~。」流石にこの文句は効果覿面であった。横に並んだ3人に、監督生は「私あんなの気にしないから。」と囁く。―――嘘である。ツイステッドワンダーランドに自分なりに迎合しようとし、それを学園長やリドル寮長にも認められている監督生にとって、今のような貶され方―――しかも女の命と腰まで伸ばしてきた髪を―――は我慢ならないものだった。深呼吸して心を落ち着かせ、監督生はまた歩き出した。
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