部活がオフの日、蒼斗は玲音の家に訪れていた。蒼斗に教えるがてら、2人で一緒にお昼ご飯を作って食べる。これはいつの間にか玲音の家に来た時の常になっていた。
「ごちそうさまでした」
「望月、大分上達したんじゃね?」
「そうっすかね……そうだといいんすけど」
「おう。……っふは」
「玲音先輩?」
「いや、最初のみじん切りのこと思い出してよ。あれはマジでびびったわ」
「あれは……忘れてください」
くっつりやで初めて見た蒼斗の調理技術のことを思い出して、玲音はつい思い出し笑いをしてしまう。蒼斗は悔しいが、当時の酷さは自分でも自覚しているため、なんとも言えない顔をしている。
「悪い悪い。俺、飲み物入れてくるわ」
「あ、俺やりますよ」
1091