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    茶筌(ちゃせん)

    @M9Qh3anWE086394

    どうも、茶筌です。

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    POIPOI 6

    以前呟いたネ◯ロの💐嫁のネタ?を書いてみたは良いけれど、消化不良でよくわからなくなってしまったので、ここで供養しようと思います。
    🍎と🎸が一応メインです。
    南無南無

    天井「…………」

    見慣れない天井を見つめる。
    身体に痛みはない。

    寝返りを打つとふかふかの枕に顔を埋めた。そうして左右に翼を広げると姿勢が随分楽になる。

    「…………」

    ここに来てもう何日も経っている。
    地獄なのか天国なのか。
    それすらわからず何日も経っている。

    ゆっくりと目を閉じて何回か呼吸をすると深く思考した。

    何者かに背中を刺されて倒れたのを、誰かが抱えた。
    誰かが泣いていたのはよく覚えているが、その後何が起こったのかどうしても思い出せない。

    あの時、死を迎えたのだ。
    何も感じなくなり、最後には無の世界に落ちていく。
    問題は今の私がその感覚を覚えていることだった。

    「…………」

    触りの滑らかな布団は体温を溜め込んで暖かく感じられ、硬く無機質な床は翼の熱を奪うかのように冷たく感じられた。

    「…暇」

    肉体は健康そのものであった。

    健康であるからこそ今の時間を持て余していた。左右に広げた翼をゆっくり身近に戻すとベットから飛び起きる。

    室内を見渡して今日はクローゼットを探ってみることにした。

    最近あまりに暇すぎてこの部屋の中を調べては何か出てこないか探っているのだ。
    昨日はカーペットを全部ひっくり返してみた。
    するとベッドの下あたりに扉が隠す様に配置されていた。残念ながら鍵が掛かっていて開けられそうもなかったが。

    無理やりこじ開けてもよかったが、ここが何処だかわからない以上無茶なことをするのは一旦諦めている。

    窓も時計もないこの部屋は何処からともなく定期的にご飯が盛り付けられたトレィが出現する。
    食べ物はそれしかない。
    にも関わらずそれを食べる気には全くならなかった。
    幸いなことに腹も減らなかったから良しとした。

    何故だかわからないが早急にこの部屋からの脱出計画を企てなければならなかった。
    風呂もトイレもある。
    しかし鏡はない。
    窓もない。
    扉もない。
    ここは密室である。

    クローゼットの扉を開ける。
    中は服やカバン、玩具などが置かれているが誰のものかはわからなかった。
    いろいろなものが無造作に置かれている点で妙な現実味を感じさせられる。

    その全て手に取って検めた。
    時間はいくらでもあった。

    しかし目ぼしい物は何も見当たらなかった。
    埃を被った布切れ。
    青銅の鏡。
    羊皮紙の張られた本。
    どれもこれも手に取ってみたがなんの手がかりも得られなかった。

    キュリッ

    「?」

    一歩下がると何かを踏みつけた。
    床を見るも自分の服が邪魔で足元は見えない。
    蹴り飛ばしてみるとそれは勢いよく床を転がって何処かに行ってしまった。

    「はぁ、」

    疲れたのでベットに戻る。
    目を閉じるとすんなりと眠ることができた。


    _____________


    「ほぉ」

    目覚めると床に3つの缶が置かれていた。

    一つは箱型で蓋に緑の草花がエンボス加工で描かれていた。側面には物語の挿し絵ようなイラストがいくつも描かれている。
    これをまじまじ見つめてみたがよくわからなかった。
    蓋をパカリと開ける。
    中にはミニチュアの人形がたくさん詰まっていた。花のコマや、動物のコマに家のコマ。特に人型のコマがいくつも入っていてそのほとんどが同じ顔をしていた。
    ただ一つだけ、全部が真っ白に塗りつぶされた人形が入っていた。背中に鳥の翼のようなパーツがくっ付いているそれが何だか不思議であった。

    二つ目は星の形をしている。
    1番大きいそれは細かな細工がいくつも施されていて金色に輝いていた。
    しかし蓋を開けると見た目の割に中身はスカスカで拍子抜けした。
    辛うじて角の丸い三角形の板や、動物の羽のようなものが入っていたが、あまり見ていて面白味はなかった。

    三つ目は不気味な缶だった。
    円柱型のそれはたくさんの穴が開いている。
    元が何色であったのかすらわからないそれが。現在進行形で錆びついて朽ちて行く様に不快感を覚えた。
    錆びついた蓋を無理やりこじ開けると黒い粒のようなものが幾つか入っていた。何かの種のようにも思えたが、石のように硬くもあった。
    缶を無理やり握ったからか、手から錆びなのか腐臭なのかわからない匂いがする。

    缶を床に戻して部屋に備え付けられた洗面台で手を洗う。
    ふとして水を止めると、室内からクローゼットがなくなっていることに気がついた。
    よく見渡すと部屋はベットと缶だけになっていた。
    今し方手を洗った洗面台も一瞬で無くなっていた。

    でもなぜか驚けなかった。

    「ふぅん」

    と思うだけであった。

    ___________________

    床に胡座をかいて翼を撫でる。
    起きるとベットが無くなっていたのだ。
    いよいよタイムリミットが近づいていると感じたが焦りはしない。
    なぜだかこれが当たり前のように感じられる。

    錆びついた缶が朽ち果ててボロボロになっていた。

    翼を撫でる。
    なぜ自分の背から翼が生えているのかは分からないが、撫でると落ち着くのだ。

    見窄らしい缶に目を向ける。とてもみていられないのに、目が離せない。

    違うな。

    錆びた缶を手に取った。
    蓋をこじ開けて缶の中を覗く。
    中に黒い固まりがパンパンに詰まっている。

    これは人だ。

    煌めく翼を撫でながらなんともいえない感情に浸っていた。

    一体誰なんだ?

    どれだけの時間が経っているのだろうか。

    他の缶に目を遣る。
    綺麗な絵の描かれていた缶は黒ずんでいてどっちがどっちかわからなかった。

    これは記憶だ。
    記憶が詰まった缶だ。

    錆びた缶を抱えながら私は黒ずんだ缶の一つを開けた。
    中身はスカスカになっていた。
    もうなにが入っていたのかすらわからない。
    もう一つの缶を手に取った。
    蓋を持ち上げると真っ白な人形だけが入っていた。
    何が何だか分からないが、これに触れると急に心が冷たくなった。

    錆びた缶をギュッと胸に抱き締める。
    カサッ…
    中身が増える音がした。

    室内を見渡す。
    真っ白な空間は自分と缶以外何もない。
    ベットやクローゼット、カーペットがあったはずであるが、それが何色であったかすら記憶していない。

    缶の中身がカサリと増える。
    あまり時間は残されていないように感じた。
    色の薄れた壁はじわじわと空間を狭めていた。

    あ。

    突然思い出して、部屋の中央へと歩み出す。
    床にあった扉の存在を思い出せたのだ。
    輪郭のぼやけた部屋にその扉は明確に残されていた。

    錆びた缶から嫌な匂いがした。
    扉の取っ掛かりに手を伸ばし、キィ…と持ち上げる。
    扉は簡単に開いた。
    鍵なんて掛かっていなかった。
    有ると思ったのは自分の妄想であったか。

    「うわ」

    中は真っ暗闇で空気の揺らぎもない。

    試しに頭を突っ込んでみると震えるほどに冷たい。まるで氷海である。

    「え〜…」

    自分は寒いのが嫌だった。
    責められているみたいだからだと、ギリギリ記憶している。

    「はぁ。仕方ないな」

    錆びた缶に目をやった。
    缶は穴だらけのまま朽ちて行く。
    穴を覗くと入っていた黒いものが全てなくなっていた。

    あまり驚かなかった。

    壁が煤けて、部屋が性急に狭まってきている。

    驚けなかった。

    ここに残っていればいずれすり潰されるか他の物と同様に消滅させられるのであろう。
    ならばどうすることが最良で有るか。

    しかし。

    この暗闇に落っこちて、行き着く場所はあるのであろうか。
    この消えゆく部屋から抜け出すことが正しいことなのか。

    「 」

    次第に思考がまとまらなくなる。

    もうとっくに名前は思い出せなくなっていた。
    何故ここにいるのかも忘れている。
    自分が何者であるかなんてさっぱりである。

    最良とは?
    目の前には暗穴がある。
    ここに入れば良いのか?

    だんだんと言葉が、記憶が感覚が失われて行く。

    「…」

    身体が苦しくなる。
    息の仕方を忘れていた。
    クラクラして穴の淵に手を当てる。
    黒が見つめていた。
    穴の横に身体を横たえる。

    「………!」

    カラン…と音が鳴る。
    そちらに目を向けた。

    それは壁に押し倒された缶であった。
    穴だらけのそれはドロっと溶け始めている。

    「………!!!」

    それは缶から聞こえていた。
    錆びた缶のから音がする。

    「………!!!!!!!!!」

    しかしなんの音かわからなかった。
    身体が壁に挟まれて潰される。
    でも感覚が無いからよくわからない。

    缶がドロっと溶けて穴に垂れ堕ちて行く。

    「…………」

    それに手を伸ばせば伸ばすほどそれを遠くに感じた。
    身体に何か真っ直ぐな力が加わる。
    あたりは真っ暗闇であった。



    ______________


    「っぶはッ!!!!」
    「ギャッッッッッッッッ!!!」

    こんにちは。
    僕は清掃員です。
    この天国で労働しています。
    ここは天国のゴミ処理場です。
    先日エクソシストの皆さんが何やら大きなものを燃やしていかれたのでお掃除をしています。
    灰を箒で一旦隅っこに集めて片付けようとしたのです。
    そしたら…

    「ゴホッ!!ゴホッ!!何…はぁ?」
    「ギャーーーーーー!!!」
    「ちょっ、、うるせっ、おいちょっと…」
    「ア"ッーーーーー!!!」
    「黙れ!!!!!!!!!!!!!!!!」

    訳が分からなかった。
    目が覚めたら素っ裸で砂まみれになっていたし、何やらそばで騒ぎ立てる奴もいた。

    思考する時間が欲しかった。
    記憶をたぐり寄せ何が起こっているか理解したかった。それなのにコイツときたらギャァギャァ喧しく叫びまくっている。
    だから私はfffのシャウトを出してコイツを黙らせた。

    「ッヒ……ッヒ…」
    「なぁ、ここ何処だ?」
    「ッア°」
    「…」

    頭を掻いた。
    サラサラと砂のようなものが落ちて鬱陶しい。
    このコイツは使い物にならなそうなので私は肉体と魂の抱合に尽力した。

    記憶がだんだんと戻る。
    奇妙な部屋を思い出す。
    錆びた缶の手触りを、不快な香りを思い出す。
    冷たい暗闇。迫る壁。
    壁に挟まれた身体がグキグチ潰されて痛かったことを、ドロっと溶けた缶がとんでもない悪臭を放ったことを思い出す。

    『アダム』

    あの声を思い出す。
    諦めたような、絶望したようなあの声を覚えている。
    アダムはその声が誰の声かもしっかり覚えていた。

    そうか。
    私はアダムだったな。
    名前と共に記憶が一気に蘇る。

    「…………」
    「フッ…ウゥ…」
    「おい」
    「ひゃあ!」
    「ここって天国か?」
    「ヒャい」
    「そうか…」

    天国。しかし自分の頭に輪は無い。
    どうしたものか。

    「ひゃの…」
    「なんだ」
    「あっ、あだ、」
    「あ"?」
    「あっ、アダム様…ですか?もしかして…」
    「…ちげぇ」
    「い、いや…あの」
    「お前」
    「ひゃい!」

    天使の身なりや自分の頭から落ちる砂。
    いや、灰を見てアダムはここが何処か当たりをつけた。

    「お前、清掃員か?」
    「あ、そ、そうですっ」
    「ゴミは何処に捨てる?」
    「そ、そこの…」

    天使が指差す。
    そこにはダストシュートがあった。

    「これか」
    「あっあのぉ」 
    「なぁ。ここに捨てたゴミは何処に行くんだ?」
    「え?…それは…」
    「地獄か」
    「そ…そうです」

    アダムは立ち上がる。
    天使がアダムの裸を見てアワアワと声を上げていたが、気にせず歩いて行くと蓋をバカリと開けた。
    中はなんとも言えない香りが漂っていて最悪だった。
    喧しいので試しに指をパチンと鳴らしてみる。意外にも力は健在のようで服を着替えることができた。

    「うし!」
    「あの、アダム様…」
    「お前、労働してるのか?」
    「え?は、はぃ」
    「ふーん。そうか」
    「あの、あの」
    「なんだ?」
    「ふ、ファンです…」
    「そうかい」

    アダムは振り返って清掃員に近づくと、背中をバシッと叩いてやった。清掃員は口を手で押さえて感涙していた。

    「頑張れよ!」
    「あ、ありがとうございます!!!」
    「じゃーな!」
    「え!?」

    アダムはニカッと仮面越しに笑うとダストシュートに頭を突っ込んで堕ちていった。

    「えっ!…えっ!!」

    バタンッ!と音を立ててシュートが閉じる。

    僕は幻覚を見ていたのでしょうか?
    声が、ライブで聞いた声に似ていたのです。
    御顔を拝見したことはありませんでしたが、服装を変えると街で見たこともあるアダム様に変身しました。
    僕が懸命にファンであることを伝えるとアダム様は背中を叩いて鼓舞してくださりました。
    アダム様が随分前に亡くなったことは知っていますが、僕はこの背中に伝わる痛みをどうにも夢だとは思えないのです。

    以上◯月×日の報告。


    ______________________

    「パパッーーーーーーーーーー!!!」
    「ミ°」

    ルシファーはソファから転げ落ち、机に捕まったことでアヒルの山が崩れ落ち、最終的に何故か本棚の本がドカドカと降り注いだ。

    「パパッ!そんなことやってる場合じゃ無いわ!!」
    「チャ、チャーリー?パパの心配をしてくれてもいいんだぞ??」
    「そんな場合じゃ無い!!!」
    「はわわ…」
    「来て!!!」

    チャーリーが部屋の窓を突き破ってルシファーの鬱を吹き飛ばさんばかりの勢いでやってくると腕を引っ掴んでラズルの上に飛び乗った。
    ルシファーはぐちゃぐちゃの様相で引っ張られている。ウジウジしていられないほどの勢いであった。

    アダムを奪われてから完全拒絶体制で屋敷の一室に閉じ籠っていた。
    だがそれも、娘が本気を出せば意味のない籠城であると分からされた。

    ラズルは見たこともないスピードで地獄を飛び進むとホテルの前に勢いよく降りたった。

    「行くわよ!!!」
    「ぷわわ」

    ルシファーが自分で立ち上がるよりも先にチャーリーが引きずってホテルの中に入って行く。

    「チャーリー!パス!!」
    「エンジェル!!!」
    「え?」

    入り口にエンジェルダストが立っていた。彼がバスケ選手よろしく手を構えると、チャーリーは思いっきりルシファーをぶん投げた。

    「ナイス!チャーリー!!」
    「あ、あとはよろしく…」

    チャーリーはそこで力尽きたようで、その場に崩れ落ちた。
    それをルシファーは横抱きにされながら見ていた。

    「え?」
    「患者さんもう少しですよ!ヒッヒッフー!はい、一緒に!」
    「え、?ヒッヒッふー?」
    「はいはい!退いた退いた!!」
    「な、え?」 

    エンジェルはほとんど勢いで話していた。
    ホテルの長い廊下を駆ける。
    青春1ページみたいだった。
    完全にふざけていた。

    「ハスク!次おねがい!!」
    「任せろ」

    エンジェルはハスカーの背中にルシファーを預けると地面に崩れ落ちてサムズアップをした。

    「っ!お前のこと忘れないからな!!」

    ハスカーは渋くて良い声を無駄に張り上げると階段を駆け上がった。

    「ちょ、ほんと何?」

    ハスカーはワンフロア登るとフッと正気に戻ってエレベーターホールへ向かった。

    「問題ない。俺に任せとけ。」

    なんだかすごく良い声で言われたものだからルシファーは流されて大人しくした。

    エレベーターの扉が開くとそこにアラスターがいた。

    「敬礼!!!」
    「厭離穢土!!!」
    「ハイルヒドラ!!」
    「欣求浄土!!!」
    「休め!!!」
    「近藤産興!!!」

    ルシファーはエレベーターに乗せられた。
    アラスターは無言で、ルシファーも無言であった。

    全く意味がわからなかった。
    実はこれ、全員ふざけているわけではない。いやふざけているけども。
    これはルシファーをウツにさせないための力技であった。
    おかしくなったルシファーに抵抗されると困るので、こっちが先にアタオカになって仕舞おうという作戦である。

    チン!

    エレベーターが停まる。
    扉が開くと今度はヴァギーが立っていた。

    「いつも!!!」
    「ここから!!!」
    「あるある!!!」
    「探検隊!!!」
    「はい!!!」
    「オッパッピー!!!」

    二人はよくわからないことを大声で叫ぶとルシファーを受け渡した。

    二人とも目が一切笑っていなくて怖かった。

    ヴァギーは大声で「Hail Holy Queen」の替え歌を歌いながらゲラゲラと笑った。
    しかし目はバッキバキである。
    すごく怖かった。

    彼女は最後の高音まで歌い切るとスンと真顔になった。

    「どうぞ。」
    「え、」
    「こちらです。」
    「わ、」

    娘の恋人大丈夫かなぁ、と思いながらルシファーは案内された部屋のノブを回した。

    「失礼しました。」

    ヴァギーは妙にやり切った顔でお辞儀をすると軍隊の行進みたいな歩行でいなくなっていった。
    彼女が1番意味がわからなかった。
    これを見送るとルシファーは静かに部屋の中に入る。

    室内は灯りが付いておらず真っ暗であった。
    ルシファーは照明の電源を探して壁伝に歩きスイッチを押す。

    「よお」
    「わ!!!」

    照明がつく。
    スイッチの真横に真っ白な衣服を着た者が立っていた。

    「あいつら最高だな」
    「なんで…」
    「私が言ったのだ。ハイテンションで行けってな」
    「お、お前は」
    「自分よりヤバい奴がいるとちょっと冷静になるだろ?それを利用したんだ」
    「どうしてここに…」
    「…さーな?」

    亡霊はゆっくりと動くと近くの椅子を引き寄せてドカリと座った。

    「なんだよ。幽霊でも見たような顔して」
    「アダム…」
    「…勘違いだったか?」
    「何が…」
    「お前が呼んだんだろ?私を」
    「!」
    「…邪魔したな」

    アダムはフッと俯くと立ち上がる。
    そうして長い脚でスタスタ歩くとあっという間に部屋から出ていった。

    「あ、えっ?」

    ルシファーはちょっと考えてから、急いで後を追いかけた。

    「よお」
    「は?」

    しかし勢いよく部屋を出ると、アダムは真ん前の廊下に胡座をかいていた。

    「来ると思ったぜ」
    「ダル…」
    「ルシファー!!!!」
    「何…」
    「来いよ!!!!」

    アダムはマスクを外して後ろに投げると両手を広げた。

    「来い!!!!」
    「っ〜〜〜〜!!!」

    ルシファーは廊下を駆けた。
    アダムは腕を広げた。

    しかしいつまでも予想した衝撃は体にやって来なかった。





    瞼を開けて天井を見る。

    開いてすぐに後悔した。

    たらりと涙がこぼれる。

    長い夢を見ていたのだ。

    私は一体誰であろうか。
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    ❤👏😭
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