予行練習(仮) 休日の朝から、フロイドは珍しくNRCの麓の街に訪れていた。モストロ・ラウンジで必要な材料をサムの店で買おうとしたところ、珍しく品切れしていたため、わざわざ街まで足を伸ばしたのだ。
NRCから麓の街までは遠く、どれだけ途中で他のオクタヴィネル生に買い物を押しつけようかと思ったことか。運悪くNRCを出るまでにオクタヴィネル生と出会わなかったため仕方なく己の足でここまでやって来たのだ。
陸生活を始めて二年は経つが、それでもNRCから街まで歩くのは非常に退屈だった。アズールにひどく言い聞かせられてなかったら途中で帰っていたところだ。
街にある店をいくつか回ってようやく材料を買い集めたフロイドは疲れた足を今度はNRCへと向ける。行きは長い下り坂だったのが、帰りは長い上り坂になるのかと思うとそれだけで疲れる気がした。
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