全く、想定、外継国縁壱、26歳。大手外資系IT企業のグループ会社勤務。
彼は鬼舞辻無惨の、このところの一番のお気に入りだ。
大企業に勤め、社の稼ぎ頭として働く鬼舞辻はもう限界だった。
休みがないわけでも、仕事が辛いわけでもない。睡眠は十分取れているし、趣味である芸術鑑賞を愉しむ時間と心の余裕もあった。
しかし日々、とにかく苛立ちを募らせていた。業務上、思う通りにいかないことは大なり小なり誰にでもあるだろう。鬼舞辻は人の倍、それにイラつく。いつも何かしら、誰かしらにキレている。
そんな鬼舞辻が現在任されているいくつかのプロジェクトのうち、最も大きな業務の一部タスクをグループ会社に委託していた。その担当者が継国だ。
体躯の良さだけやたら目に付くが存在感は然程でもなく、控えめであり実直で、人当たりの良い好青年。だがそれだけならば鬼舞辻のお眼鏡にかなうことはない。
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