〇〇しないと出られない部屋シリーズ(……寝て、たのか)
目が覚めたとき、真っ先に視界に飛び込んできたのは見覚えのない天井だった。
ゆっくりと呼吸を整えながら、重たい身体を持ち上げる。ベッドの上にいる——それはすぐに分かった。けれどそこは、見知った自室でも、ミネルバの医務室でもなかった。天井も、壁も、床も視界の端まで白一色の光景に思わず眉を顰める。
意識はまだぼんやりと靄がかかっていて、周囲の違和感ばかりが際立つ中でふと記憶が蘇る。
操縦桿を握る手が震えた感触。通信越しに聞こえた、キラの声。
そして、あの時——。
『カガリは、今泣いているんだ!』
ぎゅっと、心臓が嫌な音を立てた。
全てを奪われたような、あの瞬間が脳裏に焼きついて離れないその言葉。迷い、怒り、自分を正当化する言葉を探しては何もかもが崩れていった、あの瞬間。
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