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    TT_Rex_Solo

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    TT_Rex_Solo

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    ある物を他ジャンルから抜き取り、アーティファクトとして使用しています。
    どこかに同じようなネタがありそうですけど、頑張って考えました、汚染やれ

    『未来は爆発と共に』 ここは我進ギルド。
    旬は何か無ければビルに立ち寄る事は滅多にないが、今回は諸菱から連絡を受けわざわざ足を運んだ。未だにその部屋には諸菱しかおらず、パソコンと睨めっこしている中、背後から声を掛けた。

    「諸菱くん」

    「あ、水篠さん!待ってました!!」

    ガッシリと腕を掴まれ、剥がそうとするが、剥がれてもまた掴むので途中で諦める。で、何の用?と旬が聞くと、イスの方向をパソコン側に戻し、これです!とモニターに対して諸菱は指をさした。

    「高威力バズーカアーティファクト…?」

    「はい!まだ値は付けられていませんが、これからオークション会場で競り落とされるんです。」

    「へぇ……」

    「父さんに連れていかれた事はあるので、やり方は分かっているんですけど…水篠さんにも一緒に来てもらいたくて…」

    一人だと心細いのもあるんですけど、と両手の指先でツンツンとし、チラチラと旬の様子を伺う。なんとなく予想がついた旬は、はぁ…と大きい溜息をついた。

    「まあ、俺もネットオークションしかしらないし…いいよ」

    「本当ですか!水篠さん大好きです!!」

    「くっつくな…っおい!」

    水篠さぁん!と半泣きになりながら旬の体に抱きつき、鼻水をつける。旬は一歩後ろに下がり、首元を引っ張り上げるが、やはり離れないので途中で諦める。

    「で、いつ始まるんだ?」

    「あと10分です!」


    ◇◇◇◇◇◇◇◇


     ウエイターの男性は片手で持っていたシャンパンが入れられたグラスを、オークションに来ていた客人達に配っていた。

    「オーナーからです、どうぞお飲みください。」

    「ああ、ありがとう」

    がたいの良い男はグラスを受け取り、シャンパンを直に飲み干した。ウエイターはお辞儀をしてその場から離れ、一度厨房へと戻ろうとする。その男の影は不思議な事に別の方向へと伸びて行った。
     人の目からは入りにくい角から、影に包まれていたのが徐々に剥がれていく。

    「こういう所で使うとは思わなかったよ」

    「ちょ、ちょっと酔いました……影交換って……乗り物……うぷ」

    眉をハの字にし、背中を摩りながら、ここで吐くなよと口元を押さえている諸菱に言い、あたりを見渡した。
    薄暗い廊下で、照明がほんのりついている程度。ざわめきは別の方向から聞こえてくるので、恐らくオークション会場はもう目の前だろう。

    「い、行きましょう……もうすぐ始まっちゃうので…」

    うぇ、と言いながら諸菱が先に前へと進む。心配そうにする旬に向けて、大丈夫です…と言うが、顔は青いので諸菱の言う大丈夫は信用しなかった。途中入り口に立っていたスタッフに止められたが、諸菱が何かを見せるとすんなりと中へと入れてくれた。

    「水篠さんは何処に座りたいですか…?」

    「目立ちたくはないから…一番後ろでいいよ」

    「じゃあ、この辺で」

    一番後ろは人はおらず、旬の諸菱だけが座る。逆に目立っているような気がしてやっぱり一段下に行こうか悩んでいる間に、ほんのりと照らされていた照明が突然消えた。
    始まりましたね、と小さい声で諸菱が旬に対して囁いた。目の前にある大きい舞台には仮面を付けた男が明るい照明を当てられ華麗なお辞儀をした。

    「ようこそ、オークション会場へ。皆様のご参加を心からお待ちしておりました。」

    なんとも胡散臭いセリフに、旬は眉を顰める。それに気づいた諸菱は耳打ちをする。

    「僕は噂でしか聞いたことがないんですけど…怪しいアーティファクトを取り扱う商人として聞いています。」

    「……それであのアーティファクトに目をつけた?」

    「流石水篠さん!そうです、なんでもあのバズーカ十年後の自分が見れると言う噂があるんです」

    「十年後…?」

    そこで話は途切れ、仮面をつけた男は顔を上げる。

    「皆さまもご存じのとおり、噂が広まりつつもある高威力バズーカアーティファクト、それは仮名であり本来の名前は”十年バズーカ”」

    おぉと観客から声が上がる。旬は顔を顰めると、横から諸菱が「殺気は抑えてくださいね…!一応アレでもハンターですから」と言われ、落ち着かせる為に瞼を閉じる。

    「さっそくその目玉のバズーカから始めましょう!」

    男の後ろには既に布が被せられた台が置かれていた。際どい衣装を着た女性二人が布を取ると、そこには人が一人すっぽりと入れそうな大きさのバズーカが丁寧に置かれている。

    「最初は一千万から行きましょう!」

    は?と思わず口に出そうになるのを自身の手で押さえる。希少が高い事で欲しがる人は多く、一千万からでも皆口々に数字を言い、競り合う。肝心の諸菱はどこまで跳ね上がるのか見極め、どのタイミングで切り札を出そうか狙っていた。
    どんどん値段が跳ね上がり、遂には三千万を超えた所で声が止まった。

    「三千万!三千百万の方はいらっしゃらないですか?」

    そろそろ手をあげようとする諸菱だが、突然オークションの舞台に乗り上がるロンゲの男が割り込んだ。

    「何だ君は!警備員は何をしている!?」

    「ひは」

    男は不気味な笑い声を上げながら、仮面の司会者を無視し、バズーカを持ち上げる。

    「動くな」

    「み、水篠さん!?」

    放っておけばいいが、ここには諸菱も居る。こんな所でよく分からないバズーカを放たれれば、例え旬でも守りきれないかもしれないと思い、武器を構える。

    「S級ハンターの、水篠旬!?」

    「どうしてここに」

    「動くな!」

    観客が逃げようとすると、持っていたバズーカを客の方へと向ける。抑えていた殺気を放てば、ロンゲの男は再びこちらの方へ向いた。

    「俺がお前に、動くなと言ったはずだけど?」

    「ならお前が動けば、このバズーカをこの客に向けて撃ってやる……それとも、そこの隣の奴がいいか?」

    ひっ、と諸菱は旬の背中に隠れると、大笑いする声が会場に響き渡る。

    「俺もコイツの性能を試して見てぇんだ……なあ、実験台になってくれよォ!」

    「―――っ!?」

    バズーカから放たれた弾は、旬の方へ真っ直ぐ向かう。後ろに隠れていた諸菱を横に投げ飛ばせば、短剣で弾を弾き飛ばそうと構える。だがその感触は無くボフンという音だけを残した。

    「ケホッ……水篠さん!」
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