強さの先力を蓄えていけば、きっと母さんを助けられると信じていた。
お金さえあれば、きっと妹を楽にさせてあげられると信じていた。
命の神水を手に入れた。これでやっと母さんを起こす事が出来ると信じて、震えながらも神水を飲ませた。
結局、それは甘い考えなのだと現実を突き付けられ、どん底へと叩き落された。
更には溺睡症が悪化し、もう身体も長くは持たないと医者に言われ、酷く葵に攻められた。
『もう……もう……もうお母さんに近づかないで…!』
そう葵に怒鳴られた時、何かが崩れる音がした。
今まで戦っていた理由、我慢してまでゲートに潜り、大怪我を負ってまでハンターとしての道を選んだ理由。それらすべてを、否定された。
―モンスターを狩れ―
『俺の居るべき場所は、ダンジョンだと思うんです』
ああ、狩らなければならない。もっと強くなれば、きっと葵も、母さんもよろこんでくれるはずだ。
―モンスターを狩れ―
神水よりももっといいのを。
―モンスターを狩れ―
もっと強くならなければならない。
もっと。
―モンスターを狩れ―
もっと。
―人間を狩れ―