『拠り所ナシ』 諸菱のギルドマスターへの条件クリアの為の誘いを断り、旬は毎日欠かさず、デイリーとダンジョンを熟す。
夜中に帰ってきては、妹の葵の顔を少し見てからまたダンジョンへ潜る。
システムからの勧誘が無ければ、弱いダンジョンに潜ってボスを倒す。
もちろんバレないようにの話だが…。
気づけば命の神水の生成を手に入れ、求めていた再開の為に母にそれを飲ませる。
「旬…? 旬なの?」
「――――うん」
やっと掴めた本来の家族の形に戻ったはずなのに。
「ありがとう、旬」
「うん」
涙は出なかった。
「水篠ハンター、いくら一人で戦える力をお持ちでも、少し攻略数が異常では?」
「いいえ、まだ出来ます」
「その”まだ”は貴方が気づいていないだけです。少しお休みになられては?」
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