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    とどます♀小説途中まで
    ますみが♀で、とどがプロポーズしてるだけの話
    眠くなったのでまた続き書きますまだ草案

    とどます♀ ますが先天女体化です
    ご注意ください




    「断る」
    「そうだよな、お前の返事はもちろん断るだよな…断るぅ!?」

    たったいま轟大愚は、恋人に一世一代のプロポーズを断られた。あまりにも淡泊に。


    ロケーションは完璧だったと思う。
    有名ホテルの高層階にある、高級レストランの個室。
    轟の恋人は素直じゃない所があるので、あまり衆目を集めるような真似をすると照れて手を出してくるだろうから、2人きりの空間を用意した。
    本当なら彼女の誕生日にプロポーズしたかったのだが、自分に金が使われるのを嫌がるヤツなので、轟の誕生日にそのお祝いという形でレストランまで連れ出した。
    妹に言われたのかそれなりに着飾ってきてくれた彼女と、いつものように軽口をたたきながらコース料理を楽しむ。
    そしてデザートも終わった後に、事前にレストランに預けておいた薔薇の花束と指輪を差し出し「俺の隣は、お前しかいないだろ。結婚しようぜ」とプロポーズ!ブリリアント・カットのダイヤは、淡いライトでも最大限反射してチカチカと瞬いている!これ以上ない最高のムード!

    なのに恋人、真澄の返事は「断る」。


    轟大愚、大パニックである。
    だって、まあ付き合うまでに紆余曲折はあったけれど、それでもお互いがお互いのこと好きすぎるだろってちょっと自覚あるくらいの状態なのだ。俺の観察眼で、間違いないと断言できる。
    恋人という関係になって2年。中3で出会ってからはもう13年の付き合いだ。
    高校時代の先輩達からは「まだ付き合ってすらない?」「ウソだろアレで?」「ふざけるなよ」と言われ続け、付き合ってからは「いや今更交際期間とかいらん、即日結婚しろよ」「待たす理由がない」「そいえば監督今も家に居場所ないらしいよ」などと言われていた。

    轟は、あの高1での出来事を経て、だいぶ先輩達に心を開いていたので、結構信頼していた。無課金でも先輩は先輩だし。
    そのため、自分と真澄のことを一番長く見ていたであろう彼らの言葉で安心しきっていたのだ。
    真澄はずっと自分の隣に居るのだと。
    プロポーズを断られるなど、頭に浮かびすらしないほどに。

    で、コレだ。
    真澄は指輪を差し出す轟の手にそっと右手をのせ、リングケースを閉じた。そして、まっすぐと轟を見据えたうえで「断る」と言ったのである。

    「な、なんで!?断る理由ねーだろ!指輪のデザイン気に入らなかったか?そんなんいくらでも買うぜ!俺の年俸いくらだと思ってんだよ!」
    「いや、指輪は綺麗なんじゃないか?ダイヤは火事で焼失しがちだから資産には向いてないかもしれないが」
    「そうだよな、お前はそういうヤツだよ。デザインとかどうでもいい…だからわかりやすく派手なダイヤ選んだんだよ俺は…」

    一応跪いてプロポーズをしてみせたため、そのまま立ち上がるタイミングを逸してしまった轟を、いつもと変わらぬ表情で見下ろしてくる真澄に困惑する。
    なんでコイツこうも当たり前みてーな顔していられるんだ?プロポーズ断ったんだぞ!?

    轟からは見上げる形になるため、降り注ぐ淡い光が黒檀の髪に白いヴェールを落としているように見える。チカリと揺れるイヤリングは、ホワイトトパーズが真澄の涼やかな顔に華を添えていて。チュールレースがあしらわれた紺のタイトドレスはスラリとした彼女の手足を優美に魅せている。どちらも俺が贈った物だ。
    俺の選んだ物で飾られていく真澄が見たくて、施しを嫌がる彼女にアレコレと理由をつけては贈り物をしてきた。
    やっぱり俺の審美眼に狂いはなくて、最高に綺麗で、そうさせたのは俺のはずなのに、こんなにも俺の物なのに、断られた。
    信じられなかった。轟はもうだいぶ泣きそうだった。

    「せ、めて理由教えろよ」
    「そうだな。轟大愚にバツをつけるわけにはいかないから、だな」
    「は?バツ?」
    「ああ、バツいちとかのバツ」
    「…ん?え、どういう…なんで結婚前から離婚前提…?」
    「お前、すぐ恋人変わるだろ。籍を入れていなければ履歴として残らないからな。それなら天才のイメージに傷はつかない」
    「…あ」


    過去の自分が原因だったっぽい。
    真澄への恋心を自覚して、認めたくなくて、顔に集ってくる女をとっかえひっかえしていたあの時期の自分が。

    生まれ持った顔の良さと、ドラフト1位指名を複数の球団からもらうような将来性、その後も派手に活躍を重ねていたため、言い寄ってくる女は後を絶たなかった。アナウンサーにモデル、グラビアアイドルなどまあモテにモテた。
    それでも轟にとっては、真澄の芯の強い瞳や努力を重ねて荒れた手、遠くまで通る凛とした声のほうがよほど魅力的だった。

    …が、まあ若気の至り。あと真澄に嫉妬してほしくて。
    それはもう派手に遊んでいた。
    轟から告白したことも振ったことも一度もない。勝手に言い寄ってきて、轟の性格が最悪だと知り勝手に離れていく。あと、彼女が居ようと普通に真澄との予定を優先していたのもある。

    真澄には彼女を優先しないことに何度か苦言を呈されたが「俺は俺のしたいことを最優先にする」と言い張れば「まあそれでこそ轟大愚だな」と納得していた。納得すんなよ。あと自分が最優先にされていることに気づけよ。

    昔から、真澄も自分のことを好きなのだと気づいてはいた。俺の目は誤魔化せないから。
    だから2年前、「あまり派手なことをしているとメジャーとかの契約に問題でてくるかもしれないからもうちょい控えろ」と、轟がなぜかメジャーに行く前提で指摘してきた真澄に「ならお前が恋人になって見張ってろよ」と言った。
    真澄は少し考えて「一理あるな」と一言、それで恋人として成立してしまった。

    そのことがずっと引っかかっていた。
    ちゃんと告白をしたわけでもなく、会う頻度が増えたりすることもなく(元から多かったのもあるが)、恋人のような接触をしようとすると未だに一瞬驚いたような顔をする。いい加減慣れろよなんて思いながら、目に見える違和感を無視していた。高1のあの練習試合でも、それで痛い目をみたのに。

    プロポーズはちゃんとしようと思ったんだ。ちゃんと好きだって伝えようって。俺がお前のこと好きなのは知っているだろうけれど、言葉にしてやろうって。

    それなのに、未だに恋人がすぐ変わる可能性があると、結婚してもいつか飽きて離婚するだろうと思われていたらしい。
    もしかして全然気持ち伝わってないんでは。
    久々に立ち直れなさそうだった。


    「お前はまだ世界を見ていないだろう。決めるのは早計だ。あ、その指輪は捨てるなよ!次に使えるだろ」

    一度女に贈った指輪を使い回すやつがあるかよ。真澄ってそういうとこデリカシーねぇよな!
    轟は、そう言ってやりたかったが頭も口もうまく回らなくて、なんて返事したのかも、その後どうやって帰ったのかも覚えていなかった。





    「…ていう感じ」

    一瞬の沈黙のあと、居酒屋は爆笑に包まれた。無課金スライムのくせにバカにしてきやがる。

    トレーニングに影響が出るレベルで落ち込んだ轟が泣きついたのはかつての先輩達だった。
    だってお前らが大丈夫って言うからプロポーズしたのにという八つ当たりをしたくて。そしてあの時みたいに手を引いて立ち上がらせてほしくて。
    轟からの「真澄にプロポーズ断られた」のLINE通知には一瞬で既読が10とかついて、深夜にも関わらず「待って詳しく」「いや直で聞きたい」「それ、酒の肴にしたすぎ」などというアタタカイメッセージが矢継ぎ早に送られてきた。
    そしてキャプテンが日程調整と場所を抑え、轟慰め会と相成った。

    ニヤニヤした顔で集まったスライムどもに囲まれ、まあとりあえず何があったか話せよ!と酒を注がれ、その時の状況も、そうなるに至った過去のことも洗いざらい語らされた。居丈高に振る舞っていた生意気な後輩の情けない話は相当おもしろいらしく、それはもう大爆笑で聞かれた。最悪だ。

    「いや〜笑った。でもなんつか意外は意外かも」
    「わかるわかる、真澄ならいっそ天才は誰とも付き合わない!とか言って恋愛許さない方がイメージには近いくらい」
    「つか今真澄って何してんの?」
    「通訳の仕事してんじゃなかった?」
    「高卒で?スゲー。努力の鬼ではあったから納得はするけど。…ん?通訳…?」
    「え、まさかと思うけど、轟お前…」
    「いや俺は高卒で公務員試験がどうこう言ってた真澄に、俺がメジャー行ったとき俺の意思を完璧に伝えれるのお前しかいねーだろって言っただけだし…」
    「お前!!また真澄の進路歪めたのかよ!」
    「え、そこまでしておいて付き合ったの2年前?さすがに引く…」
    「なんか轟ってもうちょい痛い目見たほうがいいな」
    「一世一代のプロポーズ断られたのにこれ以上の痛い目を…?」

    先輩達は散々笑いはしたものの、轟を慰めるつもりで来たし、生意気ではあったけれど真っ直ぐで不器用な後輩達をかわいく思っていたので、真澄がプロポーズを断ったと聞いて少なからず驚いたしなんとなくショックでもあった。
    それに轟の慧眼に関しては信頼しているので、真澄が轟のことを好きというのも紛れもない真実なのだと思った。てか、あの頃のコイツらみてたら誰でもわかることだし。

    「てかその後別れてねーの?」
    「別れてたまるかよ!…真澄には別れるか?って聞かれたけど、別に次も居ないのになんで別れんだよって言ってなんとか…」
    「言い方最悪じゃ〜ん」
    「それだと真澄が繋ぎみたいだな、誤解が加速しそう」
    「ひっ、必死だったんだからしょうがねぇじゃん!?…なんなんだよアイツ…お前が別れなきゃ俺にバツつかねーよ…」
    「おら、水飲め轟。んー、でも真澄にお前が真澄のこと好きってのが伝わってなさそうなのが問題だよな」
    「なんで!?キスもセックスもしてんのにぃ!」
    「かわいい後輩チャン達の性事情聞きたくないヨ〜😩まあ真澄ってすでにお前のために進路まで歪めてんだから、求められたらそれくらいはしそうはだよな。自分の体でお前の不祥事無くせるならって」
    「…ッ」
    「デッドボールだぜ今の。轟が再起不能になっちゃったよ」
    「かわいそうに…と思ったけど自業自得か」
    「死体蹴りもやめたげてね」

    慰めてもらいに来たのに追加で打ちのめされた。俺の気持ちが一切伝わってなかった可能性を示唆され、今までの真澄との思い出が脳を駆け抜けていった。走馬灯?死ぬの俺。
    そして未だに甘い雰囲気に持ち込んだとき、彼女が驚いた顔をすることに辻褄があってしまった。
    ああ、あれ初々しいとかじゃなくて、自分のこと好きじゃないのになんでキスとかしたがるんだろ、まあ性欲の発散か、ってなってたということか。終わりじゃねーか。

    その後のことはまた覚えてない。浴びるように酒を飲んだ気はするが、気づいたら家で寝てたし、グループラインには「わざわざ運んでやったんだから感謝しろ!」「結論としては真澄に気持ち伝わるまで数を打てです」ときていた。
    どのような議論の果てにその結論になったのか定かではないが、確かにそうするしかないので従おうと思う。
    覚悟しろ、天才が努力するぞ。



    轟は数々の分析を重ね、当たるまでプロポーズを続けることにした。

    まず真澄は野球で活躍する轟が一番好きなのだと思う。なので勝ち投手になった試合の日はテンションが高い。そのタイミングであればあがったテンション感のままオッケーが出るのでは?

    「この勝ちはお前のために取ってきたんだぜ。結婚したらまたお前のために勝ってきてやる」
    「轟大愚は誰かのためとか関係なく全てを圧倒するし、そもそも勝利しかねぇんだよ…」

    久々にこの地雷を踏んだなと思った。


    仕切り直して分析2。
    明らかにプロポーズですというお膳立てをするから断りやすいんじゃないか。ならば家でリラックスしているときにスッと差し込めば承諾してしまうのではないかと考えた。

    「な〜今日の味噌汁100点だぜ。この先もずっと飲みてぇんだけど、籍とかいれね?」
    「セロリ…?味噌汁には入れないだろ」
    「…」

    シンプルに聞き間違えられたが、改めて言い直すとスッと差し込むという作戦は失敗なので二の句はつげなかったし、次の日セロリ入りの味噌汁がでてきた。意外とアリかもと思った。


    いい加減にキメたい3回目。
    好きだってことを行動で示している時に言えばさすがにこの鈍感女にも伝わるのではないか。ということでセックスの最中にプロポーズしてみようと思う。もうなりふり構ってられないのだ。

    「んっ、ぅ…あ、とど、ろき…っ」
    「は…っ好きだぜ、真澄、結婚、したい、しようぜ」
    「う、はっ、ぁあっ」
    「あの…真澄さん聞こえてる?」
    「ぁう、とどろき、とどろ、き、はぁっ…ぁッ」

    俺が天才すぎてセックスも上手いことを失念していた。目が蕩けた真澄にはもう何も伝わらないので、諦めて彼女の伸ばしてきた手に応じることにした。


    もう4回もプロポーズをしている。
    いやそのうち2回は伝わってすらないけど。
    正直な所、だいぶ消耗していた。いや試合でもこんな緊張しねぇよ。何回も耐えられることじゃない。
    それでも続けられたのは、轟の目からみて、今もまだ真澄は轟のことを好きだからだ。
    轟大愚には勝利しかないんだ。


    そんな時に、真澄の妹である純から「久しぶりに会おうよ」というラインが届いた。

    「やほ〜大愚くん。すごい活躍してんね〜さすがエースピッチャー」
    「あんがと。カフェで良かったのかよ、なんでも奢るって言ったのに」
    「ココ並んで中々入れないんだよ。大愚くんならこの特別席取ってくれるかなって♡」
    「姉貴にその愛嬌分けてやってくれよ」
    「そんなんなくても大愚くんおねーちゃんにメロメロでしょ。で、まあそのおねーちゃんな話なんだけど」

    それはそうだろうと思った。純が自分に声かけてくるときは決まって姉関連だから。
    傍目から見ていると真澄の一方的な溺愛にみえるが、妹も姉には見せていないだけで姉のことは大好きだし、大切に想っている。
    …それゆえ、轟は今から何を言われるのか戦々恐々としていた。いい加減娶れよと言われるのだろうか、こっちは努力しているんだぜ。

    「おねーちゃん、マッチングアプリしてるよ」
    「は?」
    「もう何人かとやり取りしてるし」
    「な、」
    「デートも1回くらいはしてんのかな」
    「ま、待て待て待て何、え、誰の話…?」
    「おねーちゃん、大愚くんの彼女の話。あ、私が聞かされてないだけでもう彼女じゃない?」
    「彼女…彼女のはず…は…?浮気…とか、俺全然許さねぇし俺より天才がいるわけねぇだろ何勝手に離れようとしてんだ認めるわけないだろ…」
    「怖ェ〜やっぱそうだよね、またおねーちゃんの暴走かなと思ったんだけど一応大愚くんに確認しよと思って、あ、このパフェ追加」
    「好きに注文しろよ、ところで純ちゃんはどこまで知ってんの」

    店員に季節のパフェを頼み、メニュー表を畳みながら純ちゃんはニヤリと笑った。

    「詳しく聞いてはないけど、大愚くんが自分がいるせいで好きに恋愛できないだろうからって言ってた」

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