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    なろさん

    @naro_saaan

    ほんの少しでも楽しんで頂けたら幸いです₍.ˬ.₎
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    なろさん

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    ①の続きです
    くっ付かないまま終わるので苦手な方はご注意下さい。

    カラメルの徒花②*




    「ん…、ぅ、ぁん、…っ」
    「んん、ん、ふ…っん…」

    まるで飢えた獣が獲物を貪るように、普段よりか細く高く苦しげな声を上げる福島の口内を堪能する。やがて実休が名残惜しさを感じながらもそっと顔を離すと、唇から細い糸がつ、と引きプツリと切れた。

    「ぐ…っ、はぁ、は、っ」

    咳き込みながらズルズルとその場に崩れ落ちそうになる福島の体を支えながら共にしゃがみ込む。赤い顔、上がる息、濡れた唇。先ほど見た時よりもずっと美味しそうに見えたが、もうこれ以上齧りつこうとは思えなかった。彼の背中を支えつつ声をかける。

    「福島…福島」
    「はぁ、はぁ…は…、お、まえ…っ」
    「…ごめんね」

    支える手をパシリと払いのけ、ギッと睨まれる。

    「そんな、謝るくらいならやるなよ…!」
    「…うん」
    「何で、こんな…!」
    「……」

    途端に悲しげな顔をする実休に追撃の言葉を飲み込む。そうだ、どうやらこの兄は福島の事が余程好きらしく、全てが欲しいとかほざいていた気もする。誰がやるかバカ。
    以前から、好かれているのは分かっていた。織田の刀達とも仲良くしていたが、やはり兄弟とあってか福島は特に懐かれている自覚はあった。けど。まさかこんな"好き"だったなんて。
    何で。どうして。

    「あー、俺の事が好きで…?全部欲しくなったとか何とか?それは分かったよ愛してくれてドーモアリガトウ、でも俺は俺をあげる気はありません残念でしたお兄様。以上。そこどいて」
    「……………」
    「どけ」
    「…福島は、僕を嫌いになった?」
    「言わなきゃ分からない?」
    「……いや…ごめんね。…少し頭を冷やしてくる」

    周囲に落ちた花を一つ一つ丁寧に拾い揃えて福島の横にそっと置き、ゆっくりと立ち上がり去っていく実休を福島は黙ったまま見ていた。
    先ほど噛み砕いた飴の味がまだ残っているのか口の中にほのかに甘さを感じ、あの時の羞恥が、そして暗い目の恐怖がぶり返しぞくりと鳥肌が立つ。おそらく実休の様子からしてはじめは本当に飴を渡しに来ただけなのだろう。それがどうしてこうなった。悪気のない口移しが引き金になったのか。もっと前から想われていたのか。いつからだ。気付かなかった。

    「何でだよ…本当に…」

    これから肩を並べて戦っていくのだと、一緒に楽しい思い出を作っていくのだと、大切な仲間として特別な兄弟として、終わりの時が来るまで共に生きていくのだと思っていたのに。出会う日をずっと待っていたのに。
    実休の中で福島が家族の枠を超えて"そういう対象"になってしまったのであれば、今までのように接していく事は出来ない。自信もない。
    どうしよう。これから。

    もう何度目かも分からない深いため息をこぼしながら、彼が拾い集めた花の束をぼんやりと見る。
    逃げたかった。怖かった。
    それでも尚、

    「嫌いになれるわけ、ないでしょうが…」

    あんな好き勝手をされた後でも、怒りを覚える一方で実休は今頃1人で何を思っているのだろうか、必要以上に気に病んでしまわないだろうかと心のどこかで気にしてしまう。それはもう治らない性分なのもあるが、やはり彼の事が大切なのだ。
    彼に何かあれば隣に座り寄り添い、綺麗な花を贈り、一緒に立ち上がり歩き出してきた。逆の立場でもそうだ。福島の調子が悪い時や傷付いた時に決まって1番に側に来てくれるのは実休だった。優しく背中をさすって温かいお茶や手作りの薬を差し入れてくれて、立ち直るまでずっと隣にいてくれた。

    もう二度と訪れないであろう穏やかな時間。
    失われたものに気付いてしまえば、途端に悲しみと寂しさが込み上げてくる。互いに向ける愛の行き先が違ってしまった以上、今までのような日々はもう来ない。戦う為に生まれた存在ではあれど、手放し難い大切なものだった。
    唇が触れた時もっとしっかり怒っていたら。拒めていたら。その愛は間違いだとはっきり言えていたら。そうしたらきっと彼はそうだね、ごめんねと言って。そしたら自分は、全くしょうがないなって、ほら部屋に戻ろうって、並んで、一緒に、また、笑って。きっと、そんな未来も。

    咲いてしまう前に摘み取るべきだった。
    曇る視界。両の目から溢れた後悔が一筋、また一筋と頬を伝い落ちていく。声もなく涙を流す福島を少し萎れた花だけが静かに見守っていた。




















    (一応続きがあるのですが、かなり人を選ぶ内容である事に加え、途中リバっぽい表現もありイベントのルールに反してしまう可能性がある為ここでの展示は控えさせて頂きます。中途半端で申し訳ないです。

    小説初挑戦の為お見苦しい点が多々あったかと思いますが、読んで頂きありがとうございました!よろしければ是非感想お聞かせください❀)
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