自室にある桜色の可愛いドレッサーの前に座り、三面鏡の正面を見つめればいつもの自分。
ゆるふわ髪を愛用のブラシで優しく丁寧に梳かし、毛先を指でちょいちょいと直していけばいつも通り…いや、もっと可愛いかも。
普通よりも小ぶりなメイクボックスの蓋を開け、お気に入りのコーラルピンクのリップクリームを取り出し唇につぅ…と塗れば、薄く彩られる。
また鏡を見つめ細かく最終チェック。見てく度に恥ずかしくなってきたな……。
「…………ここまでやると女々しいな、でもいっか」
そう……今日はちょっと大事な日だから、いつもよりトクベツなことを…。
話を少しだけ前に遡ろうと思う。
それは、先月僕の恋人であるハルリットとふたりだけのお茶会でのこと。
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