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    ki_mo_fm_12

    @ki_mo_fm_12

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    ki_mo_fm_12

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    ハルルド🍎🎼
    真ん中バースデー『贈り物』

    贈り物は、相手にどんなものをあげたら喜んでもらえるか、そして渡す人への笑顔を思い浮かべながら考え、選ぶのがとても楽しいものだとオレは思っている。
    しかし、今のオレはいつものように選ぶことが出来ず悩んでいた。
    「やっぱり甘いものの方がいいのかな……いや、せっかくなら形に残るものを贈りたいけど…これは…やりすぎな気もする……」
    執務室のデスクの上には、様々な商品カタログ。気になったものには付箋を付けたりして、とある人物の為に贈る、とても大切で大事な『贈り物』を真剣に考えていた。

    その送り主は、同じ赤の大陸の騎士、メロルド。

    何故、彼に『贈り物』を贈るのか…。
    それは彼とのとある記念日に決めた…ふたりの約束があるからだ。

    ***

    「お互いに贈り物をしないか、この日に!」
    メロルドの自宅に遊びに行った際、部屋に置いてあった雑誌をパラパラと見ていたら気になる内容のものがあり、そのページを見て!と主張するみたいに目の前に出した。書いてあった一文を、メロルドは声に出して言った。
    「………『恋人と真ん中バースデーを調べて祝っちゃおう!』ねぇ」
    「調べ方があってやってみたんだけど、オレ達は6月11日らしい!日付的にもまだ終わってないしせっかくならどうかなって…」
    メロルドは、オレの反応に対しいつものゆるっとした表情で雑誌を見つめては、ゆっくりこちらの顔を見つめ、彼の唇が動き言葉が紡がれる。
    「なんで贈り物?何処かに出掛けるでもなく」
    どうやら、メロルドが気になったのはオレの提案の方らしい。オレはその問いに返答した。
    「勿論出掛けるのもしたいな!いや…むしろ部屋でケーキとか用意してふたりだけで過ごすのもいいし……その、贈り物は…オレの趣味だけど記念日なんだしお互いで贈り合いたいなって……変、かな?」
    最後の言葉を紡ぎ、オレはおそるおそるメロルドを見つめ返答を待つ。「ふーん……」と呟き、考えるような仕草をし、少しするとこちらをくるり、と振り向き、彼の唇が動く。
    「じゃ、ケーキと軽食用意してプチパーティを僕の家でして、お互いに贈りたい物買って交換する。ってことで、いい?」
    メロルドの提案に、オレはものすごく嬉しさの感情が高まり、両手をぎゅっ!と掴み握った。
    「すごく良い!ありがとうメロルド!!そしたらオレ、何か作って持っていくよ!」
    「ハルリットは作らないで、王国のマーケットから何か買って持ってきて。そうしないと、僕の家上がらせないから」
    「え!?む、むぅ………分かったよ、王国で美味しいアップルパイ買ってくるから…それならいいだろ?」
    アップルパイと聞いて、メロルドは瞳をキラキラとさせたので、ホントに甘いものに目が無いんだからなぁ…と思いながらも、オレは嬉しくて嬉しくてしょうがなかった。

    ***

    迎えた当日。
    お店の人のご厚意で焼き立てのアップルパイを貰い、せっかくなら早く食べて貰いたいなと思い、少し急ぎ足でメロルドの家に向かっていた。
    手に持っているふたつの紙袋。そのうちのひとつに入っている彼への贈り物は、色々悩んだ末に…今ここでは言わないけれど、喜んで貰えたらいいな…と思える品を用意出来たと思う。
    オレは笑顔で、彼が待つ家に歩みを進めていった。

    「いらっしゃい~ずいぶん早かったね」
    到着してすぐ、呼び鈴を鳴らしたら数秒も掛からない内にメロルドがドアを開け、出迎えてくれた。そういえば、時計を確認してなかったから時間見てなかったけど早かったのか…。
    「あぁ…コレ、アップルパイ…お店の方から焼きたてを貰ったんだ。冷める前に持っていきたくて……」
    メロルドの前に大きな紙袋の方を差し出すと、すぐさま受け取り、子供みたいな無邪気な笑顔になった。
    「やった!焼きたてアップルパイ~♡早く食べよ、ほらほら上がって~すぐに紅茶も用意するからっ」
    楽しそうに鼻歌を歌いながら、メロルドはキッチンに軽い足取りでさっさと向かっていってしまったので、家主にはもう聞こえてないが、「お邪魔します」と一声掛けてから玄関に入り、ブーツを脱ぎ、スリッパに履き替えリビングに向かった。
    いつも決まってお茶をする、リビングのソファに腰掛け待っていると、カットされバニラアイスが添えられたアップルパイとふたつのティーカップがのったトレーを持って現れ、テーブルにカチャン、と置かれる。
    「お待たせ。ふふん、贅沢にアイスのせたよ~♪」
    「わ!すごい…豪華だ!ありがとうメロルド!!」
    素直にお礼を言うと、「どーいたしまして」と嬉しそうな表情で返され、それを見てオレはドキンっ!してしまい、少し身体の体温が上がった。は、反則すぎる………今のはっ!!

    その後、ふたりで美味しいうちにアップルパイを堪能し、現在はまったりとした時間を過ごしていた。
    オレは、自身が持ってきたもうひとつの紙袋を見て思い出す。そうだ、今回の楽しみ……。
    「メロルドっ!」
    「ハルリット…」
    名前を呼んだら、相手からも同じタイミングで名前を呼ばれ、お互いに顔を見つめると頬を赤く染めたメロルドが見えた。多分だけど…オレも顔赤い……。
    数秒、沈黙になり、メロルドの方からこの空気を断ち切ってくれた。
    「………ハルリットが言って、どうせ言いたいこと同じだろうし」
    「え!?あ………その、記念日の贈り物…渡したい、です」
    「なんで敬語なのさ…。ま、言いたいことは一緒だったし…ちょっと待ってて」
    メロルドは席を立ち、そんなに時間もたたずに小ぶりな紙袋を持って戻ってきた。先程まで座っていたソファのオレの隣にすとん、と座り、先程の紙袋がオレの目の前に勢いよく差し出された。
    「……はい、これ僕から」
    こちらから目線をそらし、恥ずかしそうな表情でメロルドを見つめ、オレは差し出された紙袋を受け取った。
    「ありがとうメロルド!開けてもいいかい?」
    「どーぞ」
    了承を得たので、オレは紙袋から中身を取り出す。中から現れたのは、赤いリボンと花柄のラッピングがされた小さめの箱。
    リボンをほどき、丁寧に包装を剥がしていくと白い箱が見えた。その箱の蓋を開けると、中から見えたのはアクセサリーだった。
    「これ、イヤーカフ?」
    キラキラと綺麗なゴールドに、ワンポイントにリボンの飾りが付いているデザイン。オレはこの綺麗なイヤーカフをじっと見つめてから、メロルドの方を見るとむぅ…とした表情でこちらを見ながら話してくれた。
    「その……あんまりアクセサリーしてるの見ないし、そのくらいならシンプルだから普段でもどんな服でも合うでしょ……」
    「~~っ!!すごく嬉しいよメロルド!早速つけてみてもいいかい?」
    「……いいけど。てか、貸して…僕がつけてあげる、今日は」
    そんなメロルドからの提案に、オレは差し出された手に持っていた箱を渡すと、中からイヤーカフを取り出されるとメロルドはオレに近づき、耳元に手が添えられたのを感じ、くすぐったいのを堪え、彼の手でイヤーカフがつけられたのが分かった。
    スッ、とメロルドが離れた後、ん。と手鏡を差し出され、右耳を見れば先程の綺麗なゴールドがキラリと光っていた。
    「わぁ……!!すごく綺麗だ…………!大事にするよ!!」
    「それはどーも。それじゃ、はい僕にもちょーだい」
    オレが嬉しくて感動してるのもつかの間、メロルドは両手をオレの前に出して『早く渡して』と表情だけで読み取れるくらいに催促された。
    オレは近くに置いておいた小さな紙袋を手に取り、それをメロルドの両手にぽんっ、と置いた。
    「ありがと、開けていーい?」
    「勿論、どうぞ」
    メロルドは紙袋からピンク色のリボンと赤チェックのラッピングがされた箱を取り出す。
    先程のオレのように、リボンをほどき、丁寧に包装を剥がす。紙のカバーをずらせば小ぶりなアクセサリーケース。オレはメロルドが蓋に手をかけた時、ドキドキが早くなっていった。パカッ、と開かれたケースの中身を見て、彼の瞳がキラリ、と小さく輝いているように見えた。
    「可愛い……イチゴのブローチだ………」
    オレがメロルドに渡した贈り物、赤とピンクのイチゴのブローチ。かなり女子向けの可愛いデザインではあるが、彼なら似合うと思って選んだ。
    「その、オレもつけていい……?メロルドに、ブローチ…」
    そうメロルドに問うと、言葉ではなく、オレの目の前にブローチの入ったケースをずいっ、と差し出された。
    これは、彼からの『いいよ』という合図だろう。
    オレはケースの中からブローチを取り出し、彼のカーディガンについているふたつのリボンの近くにつけた。
    「…………可愛いよ、メロルド」
    自分が素直に感じた感想を伝えると、メロルドの顔はぶわっ!と赤いイチゴのブローチと同じような色になっていた。
    「~~~っ!!ぼ、僕がつけたら可愛いに決まってるじゃん!……………その……あ、ありがとハルリット…大事にする」
    ふたりだけの真ん中記念日に、お互いに相手を思っての贈り物。他の人に自慢したいけど…これはふたりで会う時にだけ……大事にしたいからね…。

    -これはふたりだけのあいだのあかし-
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