Only You またお祈りされてしまった。何度目か分からない就活の失敗にため息しか出ない。KKと一緒に住むのを決めた時は、こんな事になるなんて思わなかった。こんな情けない姿を見せることになるなんて。
「ただいま……」
疲れて帰ると、KKはソファで寝転んで本を読んでいた。今日の家事当番はKKなので、テーブルには簡単な料理が並んでいる。
「いま食べる気になんないから、冷蔵庫に入れとくね……」
「おー、置いといていいぜ。後でオレがやっとく。それより……ん」
本を畳んで下に置き、腕を広げるKK。何だよ、と思うのに、体が吸い込まれるようにKKに倒れ込んでしまう。
「うー……」
「オマエは頑張ってる。オマエは偉い。オマエは可愛い」
「……最後のはいらなくない?」
「事実しか言わねぇんだよ、オレは」
「もう……」
煙草の匂いの薄まったKKの体臭を胸いっぱいに吸い込みながら、僕はKKの身体に体重を預けた。
「KKにだけは、見せたくなかったのに」
「バーカ。だからいいんだろ。暁人」
顔を上げると、微笑むKKと視線がぶつかる。
「オレにしか、見せるなよ」
「……うん」
そうか。KKにしか、見せてないって思えば、こんなに。こんなに暖かい気持ちになれるんだ。
「KKだけの、暁人だよ」
このまま眠ってもいい? そう言おうとした唇は、KKの唇に塞がれる。
「オマエが悪い」
「うん、ごめんね?」
いま欲しかったのは、これなんだって、思えて。