よくある話。休日前夜、俺は高速道路をバイクでかっ飛ばしていた。世界が未曾有の危機から救われたと言うのに、発生する人間の業に嫌気がさし、かといってどうする事も出来ない自分を慰める様に、時間があれば俺はバイクを駆った。
とある日、いつもの様に走っていると対向車線に赤いランプを見つける。警察車両だ。近付くにつれ、散らばる破片が目に付いて、俺は事故ったんだなと思った。そこのカーブは地元じゃ、ちょっと名の知れた色んな曰く付きのカーブでもあった。フェンスが一部切れていて飛び降りの名所でもあるが、カーブが曲がり切れずに振り落とされて落ちる、なんて事故もある。そんな、曰く付きのカーブ。散らばる破片の具合から見るに、かなりの大きさと見て取れた。
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