BOUNCEオレの手のひらに余るサイズの白いチューブ容器
ピンクとラベンダーが繊細な曲線でレイアウトされたパッケージフィルム
容器の真ん中にゴールドで印字してある、商品名と思わしきロゴを思わず読み上げた。
「ナイト、リペア、トリートメントミルク……」
ないはずのものが鎮座する、パウダールームのブラックボックス。
***
オフホワイトのクロスとチャコールグレーの玄関タイル
白いシューズボックスの天板には彼の愛車のキーと何通かのダイレクトメールが無造作に放られていた。
「スリッパなんてないからそのまま上がれピョン」
そう言いながら靴を脱いだ深津さんは、振り返りもせず短いホールを進んでいく。
脱いだ靴の他には外履き用のバッシュとくたびれたシャワーサンダル。どちらも男物だ。
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