まだ始まってない紬至『いたるくん、今ひま?』
そんなメッセージが来たのは、金曜の夜、22時を少し過ぎた頃。
耐久配信か、縛りプレイか、はたまた積みゲーの消化か…今日の夜更かしのメニューを考えていた俺は、なるほど部屋飲みもありだな、と思いながら『暇だよ』と返信した。
すぐに既読がつくが、返事はすぐには来ない。とはいえこれはいつものことだ。
やがて控えめなノックが聞こえて、どうぞと声を返せばノックの主が扉から顔を覗かせる。
「こっちの方が早いなと思って直接呼びに来ちゃった。良かったら部屋で飲まない?」
期待通りの誘いにいいねと応えてソファから立ち上がると、廊下にはまだまだ素面といった様子の紬が立っていた。
丞と先に飲んでいたわけじゃなかったのか、と考えかけて、丞が一週間ほど客演先の強化合宿だとかで居ないのだと聞いたことを思い出す。
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