アオ主ワードパレット1 プリンシピオ
黎明に誰かの声を聞いた気がした。
砂塵を巻き上げながら、荒廃した魔界を駆ける。出会った当初は合一に戸惑いを見せていた少年は、驚くほどに適応を見せ、禁じられたナホビノの肉体を余さず活用している。
倒壊したビルを渡り、かつての栄華と共に崩れた鉄骨を巡り、乾いた砂塵を巻き上げる丘を抜けて、しなやかに生を謳歌する青い蹄のように駆ける。手に冷たく纏う神気の光刃で悪魔を切り裂き、祈るように雷撃を落とす。邪教の館で換装した写せ身の力で、炎や氷や破魔の力を繰る。
肉体の動きや力の扱いは私がサポートしているが、少年の意思もまた困惑から生存のための闘争へ向いたようだった。
神造魔人たる私にとって人間である少年は庇護の対象であるはずだが、それ以上に、自らの半身、知恵である彼を得難く思う。
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