ノエル午後三時半、外は冷え込む頃合い。
アルヴァは街の針葉樹の前で待ちぼうけていた。
…いや、原因は早く来てしまったことにあるのだが。
もちろん、アルヴァが30分も早く来てしまったのには理由がある。
それはフレディと正式的にデートをするのが初めてだからだ。
今まで試合の中、マップ点検などで二人きりで闊歩することはあったが、
こうして街へ出向き出かけることなどなかったのだ。
デートができていなかったのは、二人が付き合って日が浅いというのも理由の一つにもあるが、
フレディが荘園主の代理として荘園と住まう人々を管理する立場にあるのが主な要因だ。
このデートも偶然の産物と言っても過言ではないだろう。
事の経緯はこうだ
フレディの執務室にて、アルヴァはフレディの滑らせるペン先の音をBGMに、読書に勤しんでいた。
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