Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    limit4696

    @limit4696 本垢
    @gram4696 二次創作垢

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 46

    limit4696

    ☆quiet follow

    刃丹
    なぞシチュ。手を引くたんこ~と心穏やかなじんちゃ

    #二次創作
    secondaryCreation

    おやすみなさいと言い合いたい するすると伸びる蔦が血に汚れた手を這い、誘う。
    誘われるがまま、ふらりと暗い道を歩いていく。
     ふ、と後ろから引っ張られる感覚に歩みを止める。
    なんだと振り向けば、そこには月がいた。
    「 」
     月が己を呼ぶ。なんだと返せば、もう一度呼ばれる。
    そうっと目を細めれば、よりいっそう引っ張られ、その勢いに身を任せればたたらを踏むように後ろへと下がる。
    「帰るぞ」
     どこへ?そう問いかけるよりも早く、蔦が巻き付いた手を掴み反対へと歩き出す。
    まるであちら側へと行かせないとばかりに。
     その頑なな様子に思わず、といったように笑いが込み上げる。
    笑っていれば、その月は立ち止まり、不服そうにこちらを見上げてくる。
    「何を笑っている」
    「ふっふふ」
    「おい」
    「そんなに行ってほしくないか」
     問いかければ、見上げていた清廉な水面が下を向く。
    「…ああ」
    「そうか」
     問いの答えによりいっそう笑いが込み上げ、隠すこともなく笑っていれば、ふて腐れた空気を纏いながらも歩みを再開する。
    「飲月、飲月よ」
    「俺は飲月ではない。が、なんだ」
    「共に死のう」
     握られた手にぎうっと力が籠る。
    拒絶されようがされなかろうがどうだってよかった。
    ただ、そうしたい。そう刃は思った。

     二度と、この孤独な龍を独りにはしたくなかった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works