再録集/万華鏡みたいな望郷 あとがき 遠い昔の話になってしまいましたが、6月のジュンブラ当日イベント及び事後通販で弊サークルの本をお手にとってくださりありがとうございました!
原稿中とその直後だったイベント前後は、ヘトヘトであとがきを書く気力がなくて諦めてしまったのですが、せっかく再録を作ったので何を思って作ったのか記録に残しておきたくて、ここに簡単ではありますが、あとがきを認めさせて頂きます。
まずは……そもそもの話になりますが、今まで私がぎゆしの(及び鬼滅)二次創作をしてきた理由は、原作では書かれない隙間の部分にあったかもしれないキャラクター同士の絆や関係性が滲み出る部分を書きたいというところがすごく大きくて、だから私は原作大正軸ばっかり書いてきました。
吾峠先生とは違う人間である私が妄想して書いてる時点でもう全く隙間を埋められてるわけではないんですが(笑)、自己満足でも埋めたくて、原作の個人的解釈を小説に落とし込んだものを書こうと、今も日々せっせと書いてます。その中でも、ぎゆしのの過去(知り合いそれなりに気心知れた仲になるまで)を書いた『雨宿りの屋根』と、未来(原作の大正時代の生涯を終えてから現代を生きていくまでの個人的にこうだったらいいなと思う解釈)を書いた『最果てより』は、私の中で再録だけじゃなく自分が書いてきたぎゆしの小説の中でもとりわけ大きなウエイトを占めるお話で、この二つだけは書いておかないとぎゆしの創作やめられないとぎゆしのを書き始めた頃から思っており、なんとか納得できる形で完成させたいと思い創作を続けてきました。ですが『最果てより』はほんとに書くのに大苦戦した小説で、無理矢理にでも期日を作らないと私は一生書ききれない気がしたので、今回再録集としてまとめて、本の形にさせていただくこととなりました。…ほんとに、私はここまで追い詰めないとやらないだめなやつなので…。それに、本にすることでぎゆしの解釈系の小説は一旦書き切れたと気持ち的に区切りをつけたい気持ちもあったので、今回完成させられてホッとしてます。
ということではありますが、この再録の収録内容、本来は原作の大正軸を起点とした場合の過去を書いた『雨宿りの屋根』、未来を書いた『最果てより』、そして、原作の大正時代時点での現在を書いたもう一本を本当は書きたかったのですが、この一本は全然間に合わなかったので(笑)、私が初めて書いたぎゆしの『死なないおまじない』、pixiv掲載大正軸の中でも個人的に気に入っている『未来のための餞』を加えて全4本掲載の再録としました。(余談ですが、『死なない〜』と『未来の〜』を掲載すると決める前、『雨宿りの屋根』よりも更に過去のぎゆしのを収録しようと思っていた時に書いたのが、最終的には無配ペーパーで載せる話になった『泡になりたる記憶』だったりします。)
ちなみに、Twitter(X)で書き溜めては支部でまとめてる短編がたくさんあると思いますが、これはこれでいずれ再録にしたいなあと思ってます。形にできた時にはどうぞよろしくお願いします…!
さて、次にそれぞれの作品のざっくり感想です。再録にあたって、読み直した時に沸き起こった気持ちや思い出書いていきます。
まず『雨宿りの屋根』。今でも一番解釈を丁寧に検討して書いた話だと、読み返してみて改めて思いました。書いた当時自分に拍手を送りたくなる…。ぎゆしの書き始めた当初は冨岡さんを動かすのが難しすぎて、なかなか納得の行く形に出来ず相当苦戦しました。私がTwitterに短い話を投稿し始めたのも、冨岡さんを書き慣れて、この話を完成させたかったからというのがきっかけだったりします。(この話を書いてた当時は、それでもどんなに書いても冨岡さんを書き慣れなくて不安ででいっぱいなまま書き切りましたが、今はだいぶ冨岡さんを書くのにも自信がついてきました!)この話はちょっと冨岡さんを頼もしく書きすぎたとは思いますが(笑)、納得いくものを書けたし、あと、個人的には蝶屋敷の女の子たちとの絡みを書くのか楽しくて(これも書いてる最中は親密に書き過ぎてキャラ崩壊してないか不安でいっぱいでした)いい思い出です!
次に『死なないおまじない』。書いたの昔すぎて推敲恥ずかしくてあんまりしっかり読めなかったんですが…(照)、ですが、この話を書いたぎゆしのハマった直後の私も今と書いてることがほとんど変わってなくて、自分の中のぎゆしの感はあんまり変わってないんだなあというのは嬉しかったです…!
次は『未来のための餞』。この話は、お題企画さんのお題をもとに書いた話でした。解釈を深める意図はなく書いたものですが、結構気に入ってて…。ただ今回読み返したら、ちょっと何言いたいのかわかんないっす…みたいな箇所がいくつかあって…、おかしいな、当時何度も読み直して納得して公開したつもりだったのに…笑 拙い分だったと思いますが、この文章から私の言いたかったことを読み取ってくれた読者さまには感謝しかないです…。
そして最後に、『最果てより』です。この話は本当に大大大苦戦して、何度も書くのを投げ出したくなって、実際書くの諦めようかと何度も思ったのですが、これを書き切らないとぎゆしの書きをやめらんねえ!と歯ァ食いしばってなんとか書き切りました…。
そもそもこの話は、本誌の最終回を読んだ日から妄想をスタートさせてた話でした。本誌で掲載されてた時は、現代を生きてる子たちが何者ははっきり明言されてなかったので、全員転生(私の中で転生は、大正と現代は別人格)と受け取っていたので、大正を生きた二人と現代を生きる二人の話を両方書いて、両カプがそれぞれ両想いになる話を展開させてたんですが、ファンブック2が出たタイミングで、冨岡のは子孫、しのぶちゃんは生まれ変わりというのがわかってしまい、ここらへんから私の計算は狂い始めました。冨岡は子孫だから完全に別人格だけど、しのぶちゃんは生まれ変わりなら、大正と現代は同一人物なのでは?と思い始めて、じゃあ大正冨岡さんとしのぶちゃんを成就させて、義一くんは取り残されてしまうの…?それはちょっとこの話ではやりたくない…、でも義一くんとしのぶちゃん成就させたら、大正冨岡さんの魂だけが一人で成仏する感じになってしまうのも寂しくない??となって、そこから三年ぐらい書くのを放置してました笑 今年になって再びこの話と向き合った時に捻り出したのが、冨岡さんは子孫だから、大正冨岡さんと義一くんは別人格、しのぶちゃんは生まれ変わるはずだったけど、大正しのぶちゃんがそれを拒否をしたから、大正しのぶちゃんと現代しのぶちゃんも二つの人格が生まれて別人格とする設定でした。これで大正と現代でそれぞれのカプを両思いにできるぞ!となったわけでした。頭痛めて考えたものではありますが、他者のために自分の全てを捧げてしまう彼女の生き方に即したものにできて、結果よかったと、今では気に入ってます…!
このお話を書くにあたって、重要視してたことが二つあって、まず一つ目は、今回の主人公の四人を、転生だろうが生まれ変わりだろうが、それぞれ個別の人格として書くことでした。なので、義一くんと現代しのぶちゃんの恋模様も、大正時代に惹かれあってたからではなく、現代を生きてきた二人が互いにそこで培った人間性に惹かれあうものにしたいと意識して書きました。(きっかけはゴリゴリに大正時代の意思が影響してますが…笑)そうして大正のぎゆしの、現代のぎいしのが並行して思いを通わせるストーリーに出来ればと思って書きました。
義一くんと現代しのぶちゃんのキャラクター設定は、大正時代の冨岡さん、しのぶちゃんが、鬼に家族を殺されずに現代社会で平穏無事に育ったらどんな人になっていただろうと想像して、それを二人の性格にはめて書きました。冨岡さんは内向的だけど、そうと決めたらやりたいことをグイグイやってしまう突飛なところのある人…、しのぶちゃんしっかりもので気が強くて、でも大事なところで他者を優先して自分の意思を押し殺してしまいそうだな、とか………。しのぶちゃんはなかなかうまくいかずなかなか手が進まなかったのですが、一度試しにしのぶちゃん同士の二人の会話パートだけを書いてみたら、現代しのぶちゃんのキャラを掴めてきて書けるようになりました…よかったです。
現代しのぶちゃんの名前を独自に設定するかもすごく迷いましたが、私が名付けた段階でキャラから逸脱しそうでやめました。でも名前を同じにすると、読者さんを、どっちのしのぶやねん!と混乱させてしまうことになると思ったので、なるべく各章の始まりで誰視点のシーンかとか誰と誰がいるシーンかがわかるように工夫したんですが、どっちにしろ読みにくかったと思うので(名前抜いても時間も前後した構成になってたのでそこも読みにくい)ついてきてくださった読者さん、ありがとうございました…(土下座)
あと、四人の描写のウエイトはなるべく平等にしたいなあと思ってました。義一くんが起点になるストーリーではありましたが、全員の思惑を盛り込んで話を動かせて、納得いく配分でかけてよかったーと、ここはめちゃ満足してます!
そしてもう二つ目の重要視してたことですが、鬼殺隊やその関係者のみんなが転生・生まれ変わったのは、個人的には「未来のために命をかけた人たちに、彼らが守った未来を見せてあげるために、神様的な存在がそうさせてあげた」ってことならいいなあと勝手に思ってて、そういうくだりを盛り込みたいということでした。最終章にちょろっと入れるだけにはなっちゃいましたが、盛り込めてよかったです。余談ですが、産屋敷家は私的には以前からも神的な存在と感じることがあったんですが、鬼殺隊の特に柱のみんなって現代人の立場から見るとかなり神的なものを感じるよなあと、今回のお話書いててふと思いました。生き残った鬼殺隊の関係者が柱経験者が天寿を全うした後とかに、ほんとに神社とか建ててそうだなあと…そのうち柱が神様になった時の話とかも書いてみたいなあと思ったりもしました(そこらへん私は明るくないのでまず勉強からですが)
なによりも、今回の話はやりたいストーリーをやろうと思ったら辻褄が合わなくなるところや、ちゃんと説明を入れないと読者さんに伝わらないだろうなと思うところが多すぎて、そこが一番大変でした。書き終わった後に、恐る恐る読み返したら、なんとかストーリーとして形を保っている気がして、そこに不覚にもちょっと感動しました…。いや、第三者の人が客観的に見たら崩壊してるのかもしれませんが…、いやたぶん突っ込みどころ満載なんだと思うんですが!もう私では判断がつかないです…!笑 とにかく最後まで書けたので、合格点ということにしておこうと思います…!
さてさて、あとがきちょー長くなりまして、すみませんでした!本腰入れて創作したくなったカプは解釈小説書かないと気が済まないたちなので、書きたかった解釈ものがとりあえず今回で書ききれて、これでひと段落という気持ちです。これからはもうすこし自由度の高い設定のお話も書けたらと思ってます!でもメインは大正軸のままやっていこうとは思っております!
かなりスローペースに創作してる人間ですが、今後もお目に止まった際はよろしくしていただけるとうれしいです。どうぞよろしくお願いします…!