なんか圭が転生して夢の中で智将と出会う話生まれてからずっと、何かを探している気がする。
自分の半分が世界のどこかに埋まっている気がして、それを探し続けている。
*
圭は夢を見ていた。
夢の中で、圭は広大な森の中を歩いている。樹々のその高さに圧倒され、木漏れ日で金色に輝いている葉を見やる。先が割れ逆三角の形をしたそれに見覚えがあるようなないような、なんとも曖昧な記憶の中辺りを見渡すが、道のような道は一つも見つからない。迷いながらもひたすら歩き続けた。
夢の中で圭が歩みを進めていると、突然、目の前に鏡のように光り輝く湖が現れた。揺らぎのない水面を覗くと自分の顔が映っているのだが、よく見ると、その顔は圭自身ではなく——
「……誰?」
圭は小さく呟いた。その瞬間、湖の水面が波立ち、姿が歪んだ。
「俺は、要圭だ」
圭の耳に声が響いた。何か懐かしさがこみ上げてくるような感覚がした。
動揺に目を閉じ、もう一度ゆっくりと開くと、そこには、圭の目の前に立つ一人の青年がいた。その顔は確かに自分と似ているが、全くの別人のようでもあり、どこか遠くで繋がっているような——圭は自分と同じ名を名乗るその人物を「智将」と呼ぶのがしっくり来た。
「君は……俺の、何?」
圭が問いかけると、智将は静かに微笑み、答えた。
「お前の半分だ」
その言葉に圭が探している何かのヒントが詰まっている気がしたが、雲のように曖昧な思考では理解が追いつかない。
「触ってもいい?」
「いいさ、触れるならな」
智将に触れようと手を伸ばした瞬間、波紋が広がるようにぐにゃりと彼の姿が歪んだ。思わず手を引っ込めて波紋が落ち着くのを待つと、再び智将の姿となり現れた。
「言っただろう。触れるなら、と」
「……」
圭は夢の中だけの不安定な存在なのだと悟った。まるで二つの世界が交差するのを拒んでいるように、智将は目を伏せてどこか遠くを見つめるように微笑んだ。
*