向日葵みたいな君7月7日 朝
── 雄英高校 ヒーロー科 職員室
「おはようございまぁす…」
普通科の教師である中村は 普通科職員室へ向かう前に ヒーロー科職員室を訪ねていた。眠そうに目を擦りながら。
「グッモーーーニンッ!!まみくーん!」
「おお…、てんしょん たっか……」
何人かの教師も出勤していたが 元気よく迎え入れてくれたのは ヒーロー科教師の プレゼントマイクこと 山田ひざし だった。未だに眠さで頭がボーッとしている中村は 山田のテンションの高さに驚いてしまった。
「Yeeeeeaaaah!なんたって今日は
HAPPY BIRTHDAY TO MEEEEEEE!!!!
だからな〜〜〜ッ!!!」
いつも以上にテンションが高い 山田ひざし。
朝から元気なのは いい事だ。
「それは、知ってるんやけどさ…。…誕生日おめでとう。これ、俺と消太から。」
「ワッ!?まじか!サンキュー!!開けていい!?」
「どーぞー」
山田のテンションとは対照的に低い、でも先程よりは 元気な中村は 左肩にぶら下げていたトートバッグの中から丁寧にラッピングされた袋を取り出し 山田に祝いの言葉と共に渡した。
袋を渡された山田は さらにテンションがあがり、嬉しそうに受け取る。 そして開封の許可を中村から得ると 優しくラッピングを解きながら袋を開けた。
「マヌカハニーとハーブティー!!えっ、しかもこれめちゃくちゃ評判良くて売り切れ続出なやつジャン!?欲しかったンだよなァ!!!買えたのォ!?」
袋の中身は ラジオDJや実況解説として活躍したり、 個性上、“喉”を使用する山田に ケア用品として相澤と中村が選んだ物だ。
それらが最近巷で効果が高いと話題になり 山田自身も買おうとしたが中々手に入らず 見つけ次第購入しようと考えていた物で まさかプレゼントとして貰えると思わず 大きい目を更に大きくし驚いた。
「まーね!…あ、タイミングが良かっただけやで?コネとかちゃうでな??」
「オーケェ!それぐらい分かってるぜェ!! いや〜〜〜…、 マジで サンキューなァ!!…んァ? なンだ〜?……短冊…?」
中村は 驚いた山田に対しニヤリとした顔で答えつつも自身で購入した事を慌てて説明する。山田は疑う余地もなく 軽く受け流す。
袋から商品を取り出し パッケージをちらりと確認しながらデスクの上に置くと 袋の中に2枚の細長い紙が入っている事に気が付いた。
「今日は ひざしくんの誕生日でもあり、七夕でもあるやろ?何のプレゼント渡そうか考えてた時に 消太が 『あいつの誕生日って七夕だよな?短冊に願い事書いて 叶えてくれって言って渡しとけば?』って 面倒くさそうに言っててさ!いやいや、確かに七夕やけど、願い事叶えるのひざしくんの仕事ちゃうでな?!…とは言ったんやけど、ちょっと面白いかなって思って…」
山田の誕生日である7月7日は 世間一般的にいうと『七夕』が有名だ。そんな日に誕生日を祝うとなると 何かしら結びつけたくなるものだ。
短冊を2枚取り出した山田は 机の上に置き、書かれていた内容に目を通した。
『ひざしくんが 来年の誕生日も元気で迎えられますように 中村まみ』
『無病息災。猫に埋もれたい 相澤消太』
「まみくん…!!…ッておいおい!!! 相澤のヤツ、“無病息災”は まだ分かるケドよ〜〜!!! “猫に埋もれたい”って、個人的な願い事ジャン!!!猫カフェ行けば済む話ダロォ?!」
中村の書いた短冊には 山田への願い事。相澤の書いた短冊には 自身の願い事が書かれてた。それぞれを見た山田は 中村の内容に感動すると すぐさま相澤の内容に茶々を入れた。
「っ、消太らしいって言えば消太らしいんやけど…」
そんな山田を見て 中村はくつくつと笑う。
「まーー あいつだもンな〜…!!!!『まみとイチャイチャしたい』とかじゃ無くて良かったァ!!その短冊 俺に渡されても困るって話ヨォ!!」
「ひ、ひざしくん!?!?!? 」
山田は高校時代からの友人の性格を思い出すと 確かにその通りだと納得し 自身が渡されて困る内容のものでなかったことに感謝していた。その言葉を聞いた中村は 驚き、焦っていた。
「一年に一度しか会えねェ 織姫と彦星からしたら お前らみたいに毎日イチャついてる奴らは 羨ましいンだろォな〜〜」
「!!なっ…、俺らは真面目に仕事してるし!!ちょっとぐらい イチャついてても良いやん…」
七夕の物語である織姫と彦星の話を交えながらニヤついた顔をする山田に 中村は反論しながら 顔を赤くし小さい声で呟いた。
「ふはっ、…俺は 推しが、…まみくんが、 楽しそうに 幸せそうに 笑ってンのを見るの好きだからサ。これからもあいつの横で笑っててくれよ〜? バースデーボーイから まみくんへの願い事なァ〜〜!あ、たまには俺とも遊んでヨ!?」
そんな中村を見た山田は 頬を緩め笑う。
そして自身が想っている事を 真剣に、強く、伝える。ユーモアも忘れずに。
「うん、当たり前やん!俺も ひざしくんの笑顔、めちゃくちゃ好き!向日葵みたいって思う!!元気ない時も元気でるし。あっ、そういや 7月の誕生日花?って向日葵っていうのもネットで見たんよ!その時 “ひざしくんやん!”って思わず叫んじゃったもんなぁ。消太にうるさいって言われたけど…」
中村も山田に似た花の話と 相澤との会話を 声を弾ませながら笑顔で話す。
「!!そんなに褒められっと 照れるなァ…。」
恥ずかしそうに 頬をかく山田。
「えへへへっ、…改めて ひざしくん 誕生日おめでとう。素敵な一年にしてね」
釣られて中村も恥ずかしそうに笑いながら、もう一度 山田に祝福の言葉を伝える。
── 夏の日差しを浴びて キラキラと輝く向日葵のような貴方の姿をこれからも近くで
𝐇𝐚𝐩𝐩𝐲 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲 / 0707
Hizashi Yamada a.k.a. PRESENT MIC
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