「きみって、鈍いのかあざといのか分からないよ、わたしには」
「…なに、いきなり?ていうかそれは、君に言えることだと思うんだけど。」
睨み合い。でも私達は直ぐに笑ってしまうんだ。それは本気の問いでも何でもなくて、さみしい心の内だとか、誰にも教えないつまらなくて空っぽな味の会話が出来る相手だって知ってるから。冷たい声色なんて先生からの譲り受けだし、眼鏡越しに彼女を睨んだら、歪んだ私の顔に耐えきれなっちゃうよ。
「ほんと、君って私を笑わせられる才能だけはあるね!」
「ちょっと!それってわたしを悪く言ってるだけでしょ。ハリーだって…」
変なところで彼女は唇を閉ざした。私は首を傾げるポーズなんかまるで最初から覚えてなかったみたいに、興味と好奇だけでロンに近づく。どうしたんだい、具合が悪くなった、なんて笑い話じゃあないんだから。
1161