夏のなぽこわ 村崎と杉田の捏造SS あ、これは降るかも。
昼間の暑さがゆっくりと溶けてじとりとした空気は快適とは言えず、うんざりするほど真っ青な空に朱が差し始める頃。帰路についた村崎は鼻をすん、と鳴らしてそんなことを思う。
そうして答え合わせをするかのように、不吉なほど黒々とした雨雲が波のように押し寄せてきたかと思えば大粒の雫がざあ、と降り出し、みるみるうちに制服は水分を含んで重くなって、中に着ている紫色のティーシャツまで色濃くなっていく。空と一緒に表情までもが雨模様。帰ったらすぐ風呂か、ちょっと面倒くさい。
鞄を傘の代わりに頭へ乗せ、地面を重い革靴で蹴り出すと水が跳ねてズボンの裾まで濡らしてしまう。もうどうにでもなれ。暗く染まった通学路を目いっぱい駆ける。一粒一粒の形が確かめられるほどの雨に打たれながら走る自分をちょっぴり間抜けだ、なんて考えて込み上げる可笑しさに笑いながら村崎は走った。
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