寂しい ローレル───否、シルビアは、くたくたになった足で手当てを終えたばかりの身体を無理やり引きずりながら保健室を出ていく。今日はなんだか嫌に廊下が長い。重い瞼を擦って窓の外を見れば、遠くの空が白み始めていた。
お遊戯会に襲撃の対応にと、ひっきりなしに戦い続けたからもう休みたいけれど、残念ながら半壊した園舎の片づけがまだ残っている。外で同僚達が瓦礫やガラスの破片を撤去しているのを横目に、大きな袋一つを握りしめて誰もいない事務室に入っていった。
小さく足音を立てながらルークのデスクに近づいていく。昨晩、彼の机を「元通り」にしたいとシルビア自身が申し出たのである。
他の誰かに任せるのはなんとなく嫌だったし、これは自分にとって心に整理をつけるための儀式のようなものだと思った。この先少しずつルークの死を実感していくより、今のうちにその事実を直視してしまった方がきっと尾を引かないだろうから。袋を握る手に汗が滲んでちょっぴり気持ち悪い。
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