エロティカ・メルヒェン-赤ずきんと白ずきん編- とある森の奥の奥。
一匹の子供の狼がおりました。
名前はきり丸。
物覚えがつく頃には既に両親はおらず、ひっそりと一匹で暮らしておりました。
ある日、きり丸はお花畑で遊んでいたところ、三兄弟の狼たちに囲まれ、いじめられていました。
「やーい、ひとりぼっちのきり丸ー」
「お前、そんなちっこいから、ろくに狩りもできねぇんだよ」
「ろくに狩りができないから、こんなちっこいんだよなー」
「あっなるほど! あはははは!」
彼らもまだ子供の狼ですが、きり丸よりも大きな体をしています。
背後から大声を出してきり丸を驚かせたり、きり丸が折角集めた木の実をぐちゃぐちゃに踏み潰したり、やっとの思いで狩った野うさぎを横取りしたりと、色んな意地悪をしては、こうしてきり丸を馬鹿にしたように笑っていました。
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