LCB311の進捗千客万来、軟紅塵中。一歩踏み出せば薄暗い裏路地が広がる街並みといえど、翼が保護する地域であれば人の往来は激しい。囚人たちがやいのやいのと騒ぐ様子を眺めながらダンテは彼らの空いたグラスに酒を注いでいた。
〈良秀!氷は…〉
「要らない。」
〈わかった。ロージャは次何飲む?ウイスキーとか?〉
「ええっと、じゃあそれでお願い。」
〈は〜い。〉
黄金色の液体をグラスに注げば氷とグラスがぶつかり、カランコロンと小気味良い音を鳴らす。光を乱反射する丸氷が美しく、もう少し見ていたいなと僅かな名残惜しさと共に酒を彼女に渡せば代わりに礼が返ってきた。
「ありがと。ダンテも飲む?」
〈私は飲めないよ?〉
「冗談だって。わかってるけどさ、んー…やっぱ一人だけ飲めないのはなんか、寂しいかなって思うじゃない?やっぱり。」
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