漠尚の短くて小さい休みある日いつものように安定峰から帰ってきた時の事だった。
いつも何かしらの気配を感じる(大体大王が居る)自室が余りにも静かだったのだ。
「大王、帰りましたよ…」
呼びかけても返事がない。安定峰の峰主と大王の補佐という現世でなら考えられないダブルワークを行っている尚清華は本日峰主としての仕事にかかりきりで、くたくたに帰ってきたのにも関わらずいつも居る彼が居ないことに困惑していた。
(今日は予算会議の日だから遅くなると伝えていたけれど)
寝たのか?それならそれでいいんだけど…と湯浴みをすべく部屋に入るとある違和感に気付いた。
「…」
寝台の上に丸まった布団の塊があり、それは息を立てるように動いていたのだった。
(猫か猿か?どちらにせよ紛れ込んだのが野生の生き物となると大王怒るだろうな…)
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