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    現パロ軸での大学生謝×黒猫范の謝范なる
    強めの幻覚を見ています。

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    DOODLE大学生謝×黒猫范(ウニ)の幻覚強めの現パロ謝范。喫茶店で働くウニの話。「今日のおすすめは?」
    「オリジナルブレンド……です」

     このやりとりも、もう何度目になるだろう。大学の帰り道、少しだけ遠回りした商店街にあるこの喫茶店に寄るのがもう当たり前の日常になっていた。
     扉を開けた途端に広がるコーヒーの香りと、軽やかに来客を知らせるベルの音。店の奥で皿を洗っていたウェイターが早足に近づいてくる。こちらを見て、ぱっと笑顔に変わって、仕事中であることを思い出したかのように一瞬の真顔を経てから作り笑い丸出しの下手くそな微笑みに変わる。
     手書きの伝票をポケットから取り出して、持ち慣れてきたらしいボールペンをカチリとノックして。それから、改まった他所行きの声で話しかけてきた。

    「お客様、ご注文がお決まりでしたらお伺いいたします」

     それで、冒頭だ。
     必安はいつも今日のおすすめを尋ね、彼はいつもオリジナルブレンドをすすめてくる。この店のおすすめではなく、彼のおすすめを聞きたいのだけれど、一生懸命に働くウェイターに意地悪をしたいわけではないから。じゃあそれで、の一言をいつも通りに返して、必安はボディバッグから黒色のカバーをかけた文庫本を取り出した。
     店の閉店時 3015

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    DOODLE現パロ猫范の話、続き。コツ、コツ、コツ、と規則正しく秒針が鳴る。
     築三十年、八畳に簡易キッチンの古アパートの自宅で必安は見知らぬ男を前に正座していた。対する"見知らぬ男"はと言えば、風呂上がりのドライヤーをひどく嫌い、他人の家に上がり込んだにも関わらずときおり雫の滴る黒髪の先をクッションに垂らしながら大あくびをしている。
     先の質問に対する返事は、未だ無い。

    「もう一度聞くけど、人間なの?」
    「今はヒトの形をしているが、俺は猫だ。たぶんな」
    「猫は姿を自由に変えられるってこと?」
    「知らん」

     知らん、と言うことはないだろう。現に今、目の前にほんの少し前まで猫だった男が座っているのだ。彼が特別なのか、それとも猫は皆そうなのか。それを聞いているだけなのに。
     ウニと名付けた猫を部屋に連れ込んでから早一時間。猫がなんとなく親近感の湧く外見の男に代わり、衝動的にシャワーを浴びせ、いつまでも彼が全裸では必安の心地が悪いと適当な部屋着を無理やり着せて、今に至る。
     質問は一向に進まず、人見知りする自身の性格故に笑顔の引きつる必安に対し、なんとも自由な、それこそ猫のような奔放さでぼんやりと過ごす男。全くどうしたも 1886

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    DOODLE現パロ軸、大学生謝×黒猫范の謝范です。出会い編。
    幻覚が強い話なのでご注意ください。
    帰宅寸前の必安はニィニィと鳴く小さな、小さな声で足を止めた。
     猫だろうか。普通に過ごしていれば気付かないほどの鳴き声は今にも途絶えてしまいそうで、必死で辺りを見渡す。気付かなかったなら無視も出来た。きっと数日もせずに尽きてしまう命だろう。それでも必安には聞こえてしまったのだから仕方ない。
     自宅、古アパートの共同階段。コンクリ製のそれをぐるりと回った階段裏の物陰に隠されるようにして、小さな黒色の子猫がいた。黒一色の毛並みの中で金色の目だけが爛々と輝く猫がいた。こんな人目に付かないところに捨てられたのは、早々の処分を避けるためか、それとも元飼い主が罪悪感から逃れるためか。そのどちらだったのかは分からない。けれど黒猫が丸くなっている段ボールには毛足の長い暖かそうな毛布と、数日分は優にありそうな餌が皿に盛られて置かれていた。更に、ちらりと毛布をめくった下にはペットシーツまで敷き詰められていて、元飼い主の愛情さえ感じさせた。
     けれど今は冬だ。もうすぐ雪解けの季節とは言え、まだ暖かさなど微塵も感じない。様子を見るためにポケットから出した指先から霜焼けになりそうで、必安は敷かれていた毛布の半分 3987