さめししSS 私が写真で褒められたのは、七五三あたりが最後だったのではなかろうか。その後もありとあらゆる場面で家族写真や集合写真を撮られたが、話題はほとんど兄の朗らかな笑顔に集中していた。私もそれが当然だと思っていたし、自分の写真になど何一つ興味はなかった。
だが、それがブライダル写真とあれば話は別だ。今の私は確実に危機に瀕している。開いたスケジュール手帳には、今日から三日後の日付のところに、間違いなく自分の筆跡で「写真館」と記してあった。そして私はスマホのトーク画面と見比べる。そこには先日叶に撮られた写真がいくつか送られてきていた。
顔色が、悪い。頬はこんなにも青白く、暗い隈を際立たせている。叶が持参したライトが眩しすぎたというのは、共に写る他四人が健康的な肌色をしているので言い訳にならない。これはつまり、私があまりにも写真写りが悪いということなのではないか。
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