(……おや、もうこんな時間だったのか)
ガヤガヤガヤ、ザワザワザワ。先程まで一定の大きさとトーンを保っていた教師の声とは違う、雑然とした複数の音の群れに揺り動かされて僕の意識は浮上した。
ふあ、と欠伸を噛み殺しながら、緩慢な動きで教室に備え付けられた時計に目をやる。どうやら今は、ちょうど四時限目が終わった直後のようだった。
そのままぐるりと眼球だけを動かすと、漸く訪れた昼食の時間に沸き立つ生徒の姿が幾つも見受けられた。僕の最後の記憶は四時限目の最初の方でプツンと途切れているから、少なく見積もっても45分程は眠っていた事になるだろう。思いがけず取れた仮眠の効果は絶大だったようで、徹夜による睡眠不足で倦怠感を訴えていた体は随分と楽になっていた。
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