怖い話もほどほどに「なぁ結希人、怖い話して。」
唐突にそう声をかけてきた友人に結希人は首を傾げる。
「どうしたの急に?」
「いや、なんとなく。お前なら手頃な怖い話知ってそうだなって。」
特に深い意味はないのだろう。
怖いもの見たさでネット上に転がってる怖い話を読むのと変わらない。
そう判断した結希人は記憶から適当に引っ張り出して話し始めた。
「……じゃあ」
そうして話したのはじわじわと日常に浸食する違和感。
普通だったはずの日常が段々と狂っていく様。
気付いたらもう手遅れになっており、原因と思われる"ソレ"が後ろにいる事に語り手が勘付いた所で話が終わる。
「ヒェ……ガチで怖い奴じゃん」
ここまで怖い話が出て来るとは思っていなかったのだろう。
1995